[ 第一段落 ]
・ 博学 … 広く学問に通じていること
・ 才穎 … 才知が非常に優れていること
・ 虎榜 … 進士試験及第者の名前を提示する板
・ 連ねる … ある集団の一員として加わる
・ 補する … 官職に任命する
・ 性 … 性格
・ 狷介 … 周囲に心を開かず自分の信念を固く守る
・ 自ら恃む … 自分の能力の優秀さを頼りにする
・ 賤吏 … 身分の低い役人
・ 甘んずる … 自分の状況をそのまま受け入れる
・ 潔しとしない … 自分には適正でないと考える
・ いくばくもなく … わずかな時を経て
・ 官を退く … 官吏が職をやめる
・ 故山 … 故郷
・ 帰臥する … 官職をやめて故郷で静かに暮らす
・ ふける … 一つの物事に心を奪われる
・ 下吏 … 身分の低い官吏
・ 膝を屈する … 相手の指示・命令に従う
・ 俗悪 … 卑しくて下等であること
・ 大官 … 身分の高い官吏
・ 文名が揚がる … 詩人としての名声が世に広まる
・ 日を追うて … 日数を経るにつれて
・ ようやく … 次第に、だんだん
・ 焦躁に駆られる … あせる思いにせきたてられる
・ 容貌 … 顔つき
・ 峭刻 … 厳しく険しいこと
・ 骨秀でる … やせて骨が目立っている
・ いたずらに … むだに
・ 眼光 … 目の光
・ 炯々として … きらきら光っていて
・ 登第 … 官吏登用試験に合格すること
・ 豊頬 … 肉づきのいい、ふっくらとした頬
・ 消息 … 様子、事情、安否
・ 貧窮に堪えず … 貧困の苦しみが我慢できず
・ 節を屈する … かたく守ってきた志を変える
・ 赴く … ある場所に向かって行く
・ 職を奉ずる … 官職をお受けする
・ 半ば … 半分
・ 鈍物 … 頭の働きのにぶい人
・ 歯牙にもかけない … 無視する
・ 下命を拝す … 下された命令をお受けする
・ 往年 … 過ぎ去った昔
・ 儁才 … 優れた才能の人
・ 自尊心 … 自分に価値を認め自分を大切にする心
・ 想像に難くない … 想像するのが難しくない
・ 怏々 … 不満に思うさま
・ 狂悖 … 非常識で道義に反する言動をすること
[ 第二段落 ] TOP↑
・ 監察御史 … 官吏を取り締まる役人
・ 勅命を奉じる … 天子の命令を慎んで受ける
・ 途に・道に … 目的地に至る途中で
・ 駅吏 … 宿駅に働く役人
・ 供回り … 供をしている人々
・ 恃む … 頼りにする
・ 言葉を退ける … 言葉を受け入れない
・ 残月 … 明け方まで残っている月
・ 果たして … (駅吏の)言葉どおり
・ 躍り出る … 勢いよく飛び出す
・ あわや … もう少しで
・ 身を翻す … 身体の向きを急に変える
・ 驚懼 … 驚き恐れること
・ 第に登る … 官吏登用試験に合格する
・ 峻峭 … 厳しいこと
・ 性情 … 性質と心情
・ 久闊を叙する … 久しぶりに会って挨拶をする
・ おめおめと … 恥だと知っていながら、あえて
・ 故人 … 古くからの友人
・ あさましい … 見るのに耐えられないほどひどい
・ さらす … 隠すところなく人に見せる
・ 畏怖嫌厭の情 … 恐れ嫌う気持ち
・ 図らずも … 思いがけなく
・ 愧赧の念 … 恥じて赤面する気持ち
・ 醜悪 … みにくいこと
・ 超自然 … 自然の法則を超えた神秘的なこと
・ 怪異 … 現実にはありえない不思議なこと
・ 消息 … 人や物事の動静
・ 隔てのない語調 … 遠慮のない言葉の使い様
[ 第三段落 ] TOP↑
・ 一睡 … ちょっと眠ること
・ 応じる … 外部の働きかけに対応する
・ 覚えず … 無意識のうちに
・ 無我夢中 … 自分を忘れて物事に熱中する様子
・ 臨む … 面する
・ 悟る … 気づく
・ 茫然 … 気が抜けてぼんやりしている様子
・ 懼れる … 危険を感じて不安になる
・ さだめ … 決定されていて変更できないもの
・ 途端に … その瞬間に
・ 自分の中の人間 … 自分に残る人間の部分
・ まみれる … 汚いものが一面につく
・ 所行 … おこない
・ 忍びない … つらくて耐えられない
・ 人語を操る … 人間の言葉をしゃべる
・ 経書 … 儒教の教典
・ 章句 … 文章の章と句
・ 誦んずる … 暗記したことを口に出して言う
・ 残虐な行い … むごたらしい行為
・ 憤ろしい … 腹立たしい
・ 礎 … 建築物の柱の下に据える土台石
・ 忘れ果てる … まったく忘れてしまう
・ 〜回る … あちこち〜する
・ 狂い回る … あれこれ異常な行動をとる
・ 故人 … 昔の友人
・ 悔い … 後悔
・ 哀しい … ひどく心の痛みを感じる
・ 切ない … 胸をしめつけられるほど悲しい
・ 身の上 … 人が置かれている状況
[ 第四段落 ] TOP↑
・ 息をのむ … 心を奪われて呼吸を忘れる
・ ほかでもない … 〜以外のことではない
・ 元来 … もともと
・ 名を成す … 業績をあげて有名になる
・ 業 … 事業
・ 成る … 完成する
・ 世に行われる … 世の中に知られている
・ 遺稿 … 死後に残された未発表の原稿
・ 記誦 … 記憶して、そらで言うこと
・ 伝録 … 記録して世に残すこと
・ 詩人面 … 詩人と認識されるようなふるまい
・ 巧拙 … 上手か下手か
・ 産を破る … 財産をすべて無くす
・ 執着 … ある事物から心が離れないこと
・ 朗々と … たいそう澄んで高らかに
・ 格調 … 詩歌の形式、品格、調子
・ 高雅 … とても上品で洗練されていること
・ 意趣 … 作品に表現されているもの
・ 卓逸 … 群を抜いて優れていること
・ 非凡 … 普通より特に優れていること
・ 感嘆 … すばらしいと感心すること
・ 漠然 … ぼんやりとして不明確なさま
・ 嘲る … ばかにして笑う
・ 風流人士 … 風雅な心を持ち詩文を愛する人
・ 岩窟 … 岩にできた洞穴
・ 自嘲癖 … 自分を見下して、ばかにするくせ
・ お笑い草 … 人にばかにされる物事
[ 漢詩 ]
・ 狂疾 … 精神病
・ 殊類 … 人類と違う生物
・ 災患 … 災難
・ 仍 … 重なること
・ 声跡 … よい評判
・ 異物 … 人類と違う生物
・ 蓬茅 … 雑草
・ 軺 … 小さい軽い車
・ 気勢 … 意気込む気持ち
・ 渓山 … 谷と山
・ 渓山名月に対し ⇒ 「山月記」の題名の由来
・ 長嘯 … 声を長く引いて詩を吟じること
・ 嘷 … ほえ叫ぶこと
[ 第五段落 ] TOP↑
・ 白露 … 白く光って見える露
・ 地にしげく … 地面にたくさん降りて
・ 暁 … 夜明け
・ 奇異 … 普通と違って奇妙なこと
・ 粛然 … おごそかにつつしんでいるさま
・ 薄倖 … 幸福に恵まれないこと
・ 先刻 … さきほど
・ 努めて … できるだけ
・ 倨傲 … おごり高ぶったさま
・ 尊大 … おごり高ぶって、無礼なさま
・ 羞恥心 … 恥ずかしく思う気持ち
・ 郷党 … 故郷の仲間
・ 鬼才 … 人間離れした才能の持ち主
・ 進んで … 自分から積極的に
・ 求めて … 自分のほうから望んで
・ 切磋琢磨 … 仲間同士で競い合って向上すること
・ 俗物 … 世間的な名誉や利益にとらわれた人
・ 伍する … 仲間になる
・ 珠 … 真珠⇒才能のある人
・ 刻苦 … たいへんな苦しみを重ねること
・ 碌々 … 平凡なさま
・ 瓦 … ねうちのないもの⇒平凡な才能の人
・ 憤悶 … 憤り、もだえること
・ 慙恚 … 恥じて怒ること
・ 性情 … 性質と心情
・ 損なう … 壊して駄目にする
・ 空費 … むだに使うこと
・ 口先ばかり … 言葉だけで実行を伴わないこと
・ 警句 … 物事の真理を鋭くついた短い文句
・ 弄する … 巧みにあやつる
・ 暴露する … 秘密を明るみに出す
・ 危惧 … 危ないと思い恐れること
・ 怠惰 … なすべき事を怠けること
・ 専一 … ある物事だけに力を注ぐこと
・ 胸を灼かれる … ある感情に堪えがたくなる
・ 巌 … 高く大きな岩
・ 空谷 … 人のいない寂しい谷
・ ひれ伏す … 降参する
・ 哮る … 荒々しくほえる
・ 天に躍る … 空中に飛び上がる
・ 地に伏す … 地面に腹ばいになる
・ 天に躍り地に伏して嘆いても
⇒ どんなに激しく嘆いても
[ 第六段落 ] TOP↑
・ 暁角 … 夜明けを知らせる角笛の音
・ 孤弱 … 頼る人がなく力もないこと
・ 道塗 … みち
・ 飢凍 … 衣食の欠乏
・ 恩倖 … 恵みと幸福
・ 慟哭 … 大声をあげて激しく泣くこと
・ 意に添う … 希望や要求に合わせる
・ 乏しい … 不十分である
・ 気にかける … 心配する
・ 身を堕す … 社会的評価が極端に低い存在になる
・ お目にかける … お見せする
・ 勇に誇る … 勇ましい姿を見せて、いばる
・ もって … そうすることで
・ 懇ろに … 心を込めて
・ 悲泣 … 悲しんで泣くこと
[ 第七段落 ]
・ 光を失う … 明るさのため光が薄らぐ
・ 咆哮 … ほえたけること
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