丹波に出雲といふ所あり


・ 徒然草「丹波に出雲といふ所あり」の現代語訳と品詞分解です。現代語訳と品詞分解を並べて記載しています。

・ 500個ほど有るといわれている重要語句はカラーで表示しています。150個ほど有るといわれている最重要語句には印を付けています。

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       [ 現代語訳・品詞分解・原文 ]

丹波に出雲といふ所あり 現代語訳・品詞分解・原文


       [ 詳しい解説 ]

丹波に出雲といふ所あり。
丹波(たんば)、出雲(いずも)
丹波の国に出雲という所がある。
・ いふ … ハ行四段活用の動詞「いふ」の連体形
・ あり … ラ行変格活用の動詞「あり」の終止形

大社を移して、めでたく造れり。
大社(おおやしろ)
出雲大社の神霊を迎えて、立派に造ってある。
・ 移し … サ行四段活用の動詞「移す」の連用形
・ めでたく … ク活用の形容詞「めでたし」の連用形
○ めでたし … すばらしい
・ 造れ … ラ行四段活用の動詞「造る」の命令形
・ り … 存続の助動詞「り」の終止形

しだのなにがしとかやしる所なれば、秋のころ、
しだの誰それとかが領有する所なので、秋の頃、
・ しる … ラ行四段活用の動詞「しる」の連体形
☆ しる(領る) … 領有する
・ なれ … 断定の助動詞「なり」の已然形

聖海上人、そのほかも、人あまた誘ひて、
聖海上人(しょうかいしょうにん)、誘(さそ)ひ
聖海上人やその他も、人を大勢誘って、
・ 誘ひ … ハ行四段活用の動詞「誘ふ」の連用形

「いざ、給へ、出雲拝みに。かいもちひ召させん。」とて、
給(たま)へ、拝(おが)み
「さあ、おいで、出雲神社参拝に。掻餅をごちそうします。」と言って、
・ 給へ … ハ行四段活用の動詞「給ふ」の命令形
・ 拝み … マ行四段活用の動詞「拝む」の連用形
・ 召さ … サ行四段活用の動詞「召す」の未然形
○ 召す … お食べになる(尊敬語)
・ せ … 使役の助動詞「す」の未然形
・ ん … 意志の助動詞「ん」の終止形


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具しもて行きたるに、おのおの拝みて、ゆゆしく信おこしたり。
連れて行ったところ、それぞれ拝んで、ひどく信仰心を起こした。
御前なる獅子・狛犬、背きて、後ろさまに立ちたりければ、
社殿の御前にある獅子・狛犬が、背を向け合って、後ろ向きに立っていたので、
上人いみじく感じて、「あなめでたや。この獅子の立ちやう、
上人はとても感動して、「ああすばらしいなあ。この獅子の立ち方は、
いとめづらし。深きゆゑあらん。」と涙ぐみて、
たいへん珍しい。深いわけがあるのだろう。」と涙ぐんで、
「いかに、殿ばら、殊勝のことは御覧じとがめずや。
「なんと、皆様、ありがたいことがお目に留まりませんか。
むげなり。」と言へば、おのおのあやしみて、
ひどいことです。」と言うので、それぞれ不思議がって、
「まことに他に異なりけり。都のつとに語らん。」など言ふに、
「ほんとに他と違っているなあ。都へのみやげ話として語ろう。」などと言うと、
上人なほゆかしがりて、
上人はいっそう知りたがって、
おとなしくもの知りぬべき顔したる神官を呼びて、
年配で物事をよく知っていそうな顔をしている神官を呼んで、
「この御社の獅子の立てられやう、さだめて習ひあることにはべらん。
「この御社の獅子の立てられ方は、きっと格別な由緒のあることでございましょう。
ちと承らばや。」と言はれければ、
少しお聞きしたいものです。」とおっしゃったところ、
「そのことに候ふ。さがなき童べどものつかまつりける、
「そのことでございます。いたずら好きな子供たちがいたしました、
奇怪に候ふことなり。」とて、さし寄りて、
けしからぬことでございます。」と言って、近寄って、
据ゑ直して往にければ、上人の感涙いたづらになりにけり。
据え直して立ち去ったので、上人の感動の涙は無駄になってしまった。






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