奥山に猫またといふものありて


・ 徒然草「奥山に猫またといふものありて」の現代語訳と品詞分解です。現代語訳と品詞分解を並べて記載しています。

・ 500個ほど有るといわれている重要語句はカラーで表示しています。150個ほど有るといわれている最重要語句には印を付けています。

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       [ 現代語訳・品詞分解・原文 ]

奥山に猫また・徒然草 現代語訳・品詞分解・原文


       [ 詳しい解説 ]

「奥山に猫またといふものありて、人を食らふなる。」
「奥山に猫またというものがいて、人を食うそうだ。」
・ いふ … ハ行四段活用の動詞「いふ」の連体形
・ あり … ラ行変格活用の動詞「あり」の連用形
・ 食らふ … ハ行四段活用の動詞「食らふ」の終止形
・ なる … 伝聞の助動詞「なり」の連体形
○ 断定「なり」は連体形、伝聞推定「なり」は終止形に接続するのが原則。

と人の言ひけるに、「山ならねども、
と人が言ったところ、「山ではないけれども、
・ 言ひ … ハ行四段活用の動詞「言ふ」の連用形
・ ける … 過去の助動詞「けり」の連体形
・ なら … 断定の助動詞「なり」の未然形
・ ね … 打消の助動詞「ず」の已然形

これらにも、猫の経上がりて、猫またになりて、
経上(へあ)がり
この辺りでも、猫が年を経て変化して、猫またになって、
・ 経上がり … ラ行四段活用の動詞「経上がる」の連用形
・ なり … ラ行四段活用の動詞「なる」の連用形

人とることはあなるものを。」と言ふ者ありけるを、
人を取って食うことがあるそうだなあ。」と言う者がいたのを、
・ とる … ラ行四段活用の動詞「とる」の連体形
・ あ … ラ行変格活用の動詞「あり」の連体形(音便)
○ ある ⇒ あん ⇒ あ
・ なる … 伝聞の助動詞「なり」の連体形
○ ものを … 〜だなあ(詠嘆)
・ 言ふ … ハ行四段活用の動詞「言ふ」の連体形
・ あり … ラ行変格活用の動詞「あり」の連用形
・ ける … 過去の助動詞「けり」の連体形


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何阿弥陀仏とかや、連歌しける法師の、
なんとか阿弥陀仏とかいって、連歌をしていた法師で、
行願寺のほとりにありけるが聞きて、ひとり歩かん身は
行願寺の辺りに住んでいた法師が聞いて、ひとり歩きするような身は
心すべきことにこそと思ひけるころしも、
気をつければならないことだと思っていたちょうどそのころ、
ある所にて夜更くるまで連歌して、ただひとり帰りけるに、
ある所で夜が更けるまで連歌をして、ただひとりで帰っていたときに、
小川の端にて、音に聞きし猫また、
小川のほとりで、うわさに聞いた猫またが、
あやまたず足もとへふと寄り来て、
まっすぐに足もとへさっと寄って来て、
やがてかきつくままに、首のほどを食はんとす。
いきなり飛びつくと同時に、首の辺りに食いつこうとする。
肝心も失せて、防がんとするに、力もなく、
正気もなくなって、防ごうとするけれども、力もなく、
足も立たず、小川へ転び入りて、
足も立たず、小川へ転がり込んで、
「助けよや。猫また、よやよや。」と叫べば、
「助けてくれ。猫まただ、ようよう。」と叫んだので、
家々より、松どもともして走り寄りて見れば、
家々から、たいまつをともして走り寄ってみると、
このわたりに見知れる僧なり。
この辺りで見知っている僧だ。
「こはいかに。」とて、川の中より抱き起こしたれば、
「これはどうしたのか。」と言って、川の中から抱き起こしたところ、
連歌の賭物取りて、
連歌の会の賞品を取って、
扇、小箱など懐に持ちたりけるも、水に入りぬ。
扇や小箱など懐に持っていたものも、水につかってしまった。
希有にして助かりたるさまにて、はふはふ家に入りにけり。
やっとのことで助かったという様子で、はうようにして家に入った。
飼ひける犬の、暗けれど主を知りて、飛びつきたりけるとぞ。
飼っていた犬が、暗いけれども主人を見分けて、飛びついたということだ。






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