飛鳥川の淵瀬


・ 縦書き、原文に助動詞の意味を付記

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  [ 現代語訳・原文・助動詞1 ]

飛鳥川の淵瀬・徒然草 現代語訳・原文・助動詞


     [ 語句 ]

・ 世にしあれば ⇒ し:強意の副助詞

・ 事 … 世の中のすべての物事

・ はなやかなり … 栄えている

・ 野ら … 野原

・ あらたまる … 入れ替わる


  [ 現代語訳・原文・助動詞2 ]

飛鳥川の淵瀬・徒然草 現代語訳・原文・助動詞


     [ 語句 ]

・ か(係助詞・反語) ⇒ ん(連体形)

・ やんごとなし … 尊ぶべきである

・ はかなし … 頼りにならない

・ こそ(係助詞・強意) ⇒ あはれなれ(已然形)

・ 事 … 行なった事


  [ 現代語訳・原文・助動詞3 ]

飛鳥川の淵瀬・徒然草 現代語訳・原文・助動詞


     [ 語句 ]

・ 世のかため … 天下の支え

・ あせ果つ … 勢いがすっかり衰える

・ おぼしてんや ⇒ や:反語の係助詞


  [ 現代語訳・原文・助動詞4 ]

飛鳥川の淵瀬・徒然草 現代語訳・原文・助動詞


     [ 語句 ]

・ 取り立つ … 建てる

・ わざ … 意図的な行為

・ 形 … 形跡、形見

・ ぞ(係助詞・強意) ⇒ たる(連体形)


  [ 現代語訳・原文・助動詞5 ]

飛鳥川の淵瀬・徒然草 現代語訳・原文・助動詞


     [ 語句 ]

・ あざやかなり … 鮮明である

・ ぞ(係助詞・強意) ⇒ あはれなる(連体形)

・ 侍り … 「あり」の丁寧語

・ か(係助詞・反語) ⇒ ん(連体形)


  [ 現代語訳・原文・助動詞6 ]

飛鳥川の淵瀬・徒然草 現代語訳・原文・助動詞


     [ 語句 ]

・ おのづから … たまたま

・ 礎 … 土台石

・ さだかなり … 確かである

・ おきつ … あらかじめ決めておく

・ こそ(係助詞・強意) ⇒ べけれ(已然形)




    [ 現代語訳 ]

飛鳥川の淵や瀬のように常に移り変わってゆく世の中であるから、時代が移り、物事は過ぎ去り、楽しみと悲しみがかわるがわるやって来て、はなやかに栄えていた所も人の住まない野原となり、変わらない住居は住む人が変わってしまっている。

桃や李はものを言わないから、誰とともに昔のことを語り合おうか。

まして、見たこともない昔の尊く立派だったという遺跡には、特に、たいへん無常なものを感じる。

京極殿や法成寺などを見ると、志は今も残っていて、事跡の変わってしまった様子がしみじみと感慨深い。

御堂殿が立派にお造りになって、荘園をたくさん寄進なさり、自分の御一族だけが、天皇の御後見役や、政治上の重要な役として、遠い将来までと思いおきなさった時、どのような世の中になっても、これほどまでに荒廃するだろうとはお思いになっただろうか。

大門や金堂などは近ごろまで残っていたが、正和のころ、南門は焼けてしまった。

金堂は、その後倒れ伏したままであり、再建するという動きもない。

無量寿院だけが、その形見として残っている。

一丈六尺の仏像が九体、たいそう尊い様子で並んでおいでになる。

行成大納言が書いた額や、兼行が書いた扉が、鮮明に見えるのはしみじみと感慨深い。

法華堂なども、まだ残っているようだ。

これもまた、いつまで残っているのだろうか。

この程度の名残さえもないような場所は、たまたま、正体の不明な土台石ぐらい残っているのもあるが、はっきりと知っている人もいない。

だから、万事につけて、自分が見ないような世の中のことを思い定めておくのは、頼りにならないことだろう。


    [ 原文 ]

飛鳥川の淵瀬常ならぬ世にしあれば、時移り、事去り、楽しび・悲しび行き交ひて、はなやかなりしあたりも人住まぬ野らとなり、変らぬすみかは人あらたまりぬ。

桃李もの言はねば、たれとともにか昔を語らん。

まして、見ぬいにしへのやんごとなかりけん跡のみぞ、いとはかなき。

京極殿・法成寺など見るこそ、志とどまり、事変じにけるさまはあはれなれ。

御堂殿の作りみがかせ給ひて、庄園多く寄せられ、わが御族のみ、帝の御後見、世のかためにて、行く末までとおぼしおきし時、いかならん世にも、かばかりあせ果てんとはおぼしてんや。

大門・金堂など近くまでありしかど、正和のころ、南門は焼けぬ。

金堂は、そののち倒れ伏したるままにて、取り立つるわざもなし。

無量寿院ばかりぞ、その形とて残りたる。

丈六の仏九体、いと尊くて並びおはします。

行成大納言の額、兼行が書ける扉、あざかに見ゆるぞあはれなる。

法華堂なども、いまだ侍るめり。これもまた、いつまでかあらん。

かばかりの名残だになき所々は、おのづから、あやしき礎ばかり残るもあれど、さだかに知れる人もなし。

されば、よろづに、見ざらん世までを思ひおきてんこそ、はかなかるべけれ。




    [ 品詞分解1 ]

・ 飛鳥川 … 名詞

・ の … 格助詞

・ 淵瀬 … 名詞

・ 常なら … 活用の形容動詞「常なり」の連用形

・ ぬ … 打消の助動詞「ず」の連体形

・ 世 … 名詞

・ に … 格助詞

・ し … 副助詞

・ あれ … 行変格活用の動詞「あり」の已然形

・ ば … 接続助詞

・ 時 … 名詞

・ 移り … 行四段活用の動詞「移る」の連用形

・ 事 … 名詞

・ 去り … 行四段活用の動詞「去る」の連用形

・ 楽しび … 名詞

・ 悲しび … 名詞

・ 行き交ひ … 行四段活用の動詞「行き交ふ」の連用形

・ て … 接続助詞

・ はなやかなり … 活用の形容動詞「はなやかなり」の連用形

・ し … 過去の助動詞「き」の連体形

・ あたり … 名詞

・ も … 係助詞

・ 人 … 名詞

・ 住ま … 行四段活用の動詞「住む」の未然形

・ ぬ … 打消の助動詞「ず」の連体形

・ 野ら … 名詞

・ と … 格助詞

・ なり … 行四段活用の動詞「なる」の連用形

・ 変はら … 行四段活用の動詞「変はる」の未然形

・ ぬ … 打消の助動詞「ず」の連体形

・ すみか … 名詞

・ は … 係助詞

・ 人 … 名詞

・ あらたまり … 行四段活用の動詞「あらたまる」の連用形

・ ぬ … 完了の助動詞「ぬ」の終止形


    [ 品詞分解2 ]

・ 桃李 … 名詞

・ もの言は … ハ行四段活用の動詞「もの言ふ」の未然形

・ ね … 打消の助動詞「ず」の已然形

・ ば … 接続助詞

・ たれ … 代名詞

・ と … 格助詞

・ とも … 名詞

・ に … 格助詞

・ か … 係助詞

・ 昔 … 名詞

・ を … 格助詞

・ 語ら … ラ行四段活用の動詞「語る」の未然形

・ ん … 意志の助動詞「ん」の連体形

・ まして … 副詞

・ 見 … マ行上一段活用の動詞「見る」の未然形

・ ぬ … 打消の助動詞「ず」の連体形

・ 古 … 名詞

・ の … 格助詞

・ やんごとなかり … ク活用の形容詞「やんごとなし」の連用形

・ けん … 過去伝聞の助動詞「けん」の連体形

・ 跡 … 名詞

・ のみ … 副助詞

・ ぞ … 係助詞

・ いと … 副詞

・ はかなき … ク活用の形容詞「はかなし」の連体形

・ 京極殿 … 名詞

・ 法成寺 … 名詞

・ など … 副助詞

・ 見る … マ行上一段活用の動詞「見る」の連体形

・ こそ … 係助詞

・ 志 … 名詞

・ とどまり … ラ行四段活用の動詞「とどまる」の連用形

・ 事 … 名詞

・ 変じ … サ行変格活用の動詞「変ず」の連用形

・ に … 完了の助動詞「ぬ」の連用形

・ ける … 過去の助動詞「けり」の連体形

・ さま … 名詞

・ は … 係助詞

・ あはれなれ … ナリ活用の形容動詞「あはれなり」の已然形


    [ 品詞分解3 ]

・ 御堂殿 … 名詞

・ の … 格助詞

・ 作り … ラ行四段活用の動詞「作る」の連用形

・ みがか … カ行四段活用の動詞「みがく」の未然形

・ せ … 尊敬の助動詞「す」の連用形

・ 給ひ … ハ行四段活用の尊敬の補助動詞「給ふ」の連用形

・ て … 接続助詞

・ 庄園 … 名詞

・ 多く … ク活用の形容詞「多し」の連用形

・ 寄せ … サ行下二段活用の動詞「寄す」の未然形

・ られ … 尊敬の助動詞「らる」の連用形

・ わ … 代名詞

・ が … 格助詞

・ 御族 … 名詞

・ のみ … 副助詞

・ 帝 … 名詞

・ の … 格助詞

・ 御後見 … 名詞

・ 世 … 名詞

・ の … 格助詞

・ かため … 名詞

・ にて … 格助詞

・ 行く末 … 名詞

・ まで … 副助詞

・ と … 格助詞

・ おぼしおき … カ行四段活用の動詞「おぼしおく」の連用形

・ し … 過去の助動詞「き」の連体形

・ とき … 名詞

・ いかなら … ナリ活用の形容動詞「いかなり」の未然形

・ ん … 婉曲の助動詞「ん」の連体形

・ 世 … 名詞

・ に … 格助詞

・ も … 係助詞

・ かばかり … 副詞

・ あせ果て … タ行下二段活用の動詞「あせ果つ」の未然形

・ ん … 推量の助動詞「ん」の終止形

・ と … 格助詞

・ は … 係助詞

・ おぼし … サ行四段活用の動詞「おぼす」の連用形

・ て … 強意の助動詞「つ」の未然形

・ ん … 推量の助動詞「ん」の終止形

・ や … 係助詞


    [ 品詞分解4 ]

・ 大門 … 名詞

・ 金堂 … 名詞

・ など … 副助詞

・ 近く … ク活用の形容詞「近し」の連用形

・ まで … 副助詞

・ あり … ラ行変格活用の動詞「あり」の連用形

・ しか … 過去の助動詞「き」の已然形

・ ど … 接続助詞

・ 正和 … 名詞

・ の … 格助詞

・ ころ … 名詞

・ 南門 … 名詞

・ は … 係助詞

・ 焼け … カ行下二段活用の動詞「焼く」の連用形

・ ぬ … 完了の助動詞「ぬ」の終止形

・ 金堂 … 名詞

・ は … 係助詞

・ そ … 代名詞

・ の … 格助詞

・ のち … 名詞

・ 倒れ伏し … サ行四段活用の動詞「倒れ伏す」の連用形

・ たる … 完了の助動詞「たり」の連体形

・ まま … 名詞

・ に … 断定の助動詞「なり」の連用形

・ て … 接続助詞

・ 取り立つる … タ行下二段活用の動詞「取り立つ」の連体形

・ わざ … 名詞

・ も … 係助詞

・ なし … ク活用の形容詞「なし」の終止形

・ 無量寿院 … 名詞

・ ばかり … 副助詞

・ ぞ … 係助詞

・ そ … 代名詞

・ の … 格助詞

・ 形 … 名詞

・ とて … 格助詞

・ 残り … ラ行四段活用の動詞「残る」の連用形

・ たる … 存続の助動詞「たり」の連体形


    [ 品詞分解5 ]

・ 丈六 … 名詞

・ の … 格助詞

・ 仏 … 名詞

・ 九体 … 名詞

・ いと … 副詞

・ 尊く … ク活用の形容詞「尊し」の連用形

・ て … 接続助詞

・ 並び … バ行四段活用の動詞「並ぶ」の連用形

・ おはします … サ行四段活用の動詞「おはします」の終止形

・ 行成 … 名詞

・ の … 格助詞

・ 大納言 … 名詞

・ の … 格助詞

・ 額 … 名詞

・ 兼行 … 名詞

・ が … 格助詞

・ 書け … カ行四段活用の動詞「書く」の命令形

・ る … 完了の助動詞「り」の連体形

・ 扉 … 名詞

・ あざやかに … ナリ活用の形容動詞「あざやかなり」の連用形

・ 見ゆる … ヤ行下二段活用の動詞「見ゆ」の連体形

・ ぞ … 係助詞

・ あはれなる … ナリ活用の形容動詞「あはれなり」の連体形

・ 法華堂 … 名詞

・ など … 副助詞

・ も … 係助詞

・ いまだ … 副詞

・ 侍る … ラ行変格活用の動詞「侍り」の連体形

・ めり … 推定の助動詞「めり」の終止形

・ これ … 代名詞

・ も … 係助詞

・ また … 副詞

・ いつ … 代名詞

・ まで … 副助詞

・ か … 係助詞

・ あら … ラ行変格活用の動詞「あり」の未然形

・ ん … 推量の助動詞「ん」の連体形


    [ 品詞分解6 ]

・ かばかり … 副詞

・ の … 格助詞

・ 名残 … 名詞

・ だに … 副助詞

・ なき … ク活用の形容詞「なし」の連体形

・ 所々 … 名詞

・ は … 係助詞

・ おのづから … 副詞

・ 礎 … 名詞

・ ばかり … 副助詞

・ 残る … ラ行四段活用の動詞「残る」の連体形

・ も … 係助詞

・ あれ … ラ行変格活用の動詞「あり」の已然形

・ ど … 接続助詞

・ さだかに … ナリ活用の形容動詞「さだかなり」の連用形

・ 知れ … ラ行四段活用の動詞「知る」の命令形

・ る … 存続の助動詞「り」の連体形

・ 人 … 名詞

・ も … 係助詞

・ なし … ク活用の形容詞「なし」の終止形

・ されば … 接続詞

・ よろづ … 名詞

・ に … 格助詞

・ 見 … マ行上一段活用の動詞「見る」の未然形

・ ざら … 打消の助動詞「ず」の未然形

・ ん … 婉曲の助動詞「ん」の連体形

・ 世 … 名詞

・ まで … 副助詞

・ を … 格助詞

・ 思ひおきて … タ行下二段活用の動詞「思ひおきつ」の未然形

・ ん … 婉曲の助動詞「ん」の連体形

・ こそ … 係助詞

・ はかなかる … ク活用の形容詞「はかなし」の連体形

・ べけれ … 推量の助動詞「べし」の已然形






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