あだし野の露消ゆる時なく


・ 縦書き、原文に助動詞の意味を付記

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  [ 現代語訳・原文・助動詞1 ]

あだし野の露消ゆる時なく・徒然草 現代語訳・原文・助動詞


     [ 語句 ]

・ 住み果つ … この世の最後まで住み続ける

・ もののあはれ … しみじみとした情趣

・ 定めなし … 無常である

・ こそ(係助詞・強意) ⇒ いみじけれ(已然形)

・ いみじ … すばらしい


  [ 現代語訳・原文・助動詞2 ]

あだし野の露消ゆる時なく・徒然草 現代語訳・原文・助動詞


     [ 語句 ]

・ つくづくと … しみじみと

・ こよなし … 格別である

・ のどけし … 穏やかである

・ 飽く … 満足する

・ こそ(係助詞・強意) ⇒ め(已然形)


  [ 現代語訳・原文・助動詞3 ]

あだし野の露消ゆる時なく・徒然草 現代語訳・原文・助動詞


     [ 語句 ]

・ 待ちう … 待ち迎える

・ かは(係助詞・反語) ⇒ ん(連体形)

・ こそ(係助詞・強意) ⇒ べけれ(已然形)

・ めやすし … 見苦しくない

・ かたち … 顔かたち


 [ 現代語訳・原文・助動詞4 ]

あだし野の露消ゆる時なく・徒然草 現代語訳・原文・助動詞


     [ 語句 ]

・ まじらふ … 人中に出て交際する

・ 夕べの陽 … 夕暮れの太陽

・ さかゆく … 繁栄してゆく

・ あらます … 期待する

・ 世をむさぼる … 俗世の名誉や利益に心を奪われる

・ なん(係助詞・強意) ⇒ あさましき(連体形)

・ あさまし … 情けない




    [ 現代語訳 ]

あだし野の露が消える時がなく、鳥部山の煙が立ち去らないで、世の限りまで住み通す習いであるならば、どんなにものの情趣もないだろう。

この世は無常だから、すばらしいのだ。

命のあるものを見ると、人ほど長寿のものはない。

かげろうが夕方を待ち、夏の蝉が春や秋を知らないということもあるのだ。

しみじみと一年を暮らす間でさえも、格別に穏やかなものだ。

満足しないで、惜しいと思うならば、千年を過ごしても、一夜の夢の気持ちがするだろう。

最後まで住み続けることのない世で、醜い姿を待って迎えて何になるだろうか。

命が長いと恥も多い。長くても四十に足りないくらいで死ぬのが、見苦しくないだろう。

そのころを過ぎてしまうと、顔かたちを恥じる心もなく、人の中に出て交際しようと思い、夕日のような余命の短い身で子や孫をかわいがって、

栄えてゆく将来を見るまでの命を期待し、いちずに俗世の名誉や利益を欲しがる心だけが深く、ものの情趣もわからなくなってゆくのは、情けない。


     [ 原文 ]

あだし野の露消ゆるときなく、鳥部山の煙立ち去らでのみ、住み果つるならひならば、いかにもののあはれもなからん。

世は定めなきこそ、いみじけれ。

命あるものを見るに、人ばかり久しきはなし。

かげろふの夕べを待ち、夏の蝉の春秋を知らぬもあるぞかし。

つくづくと一年を暮らすほどだにも、こよなうのどけしや。

飽かず、惜しと思はば、千年を過ぐすとも、一夜の夢の心地こそせめ。

住み果てぬ世に、みにくき姿を待ちえて何かはせん。命長ければ辱多し。

長くとも四十に足らぬほどにて死なんこそ、めやすかるべけれ。

そのほど過ぎぬれば、かたちを恥づる心もなく、人に出でまじらはんことを思ひ、夕べの陽に子孫を愛して、

さかゆく末を見んまでの命をあらまし、ひたすら世をむさぼる心のみ深く、もののあはれも知らずなりゆくなん、あさましき。




    [ 品詞分解1 ]

・ あだし野 … 名詞

・ の … 格助詞

・ 露 … 名詞

・ 消ゆる … ヤ行下二段活用の動詞「消ゆ」の連体形

・ 時 … 名詞

・ なく … ク活用の形容詞「なし」の連用形

・ 鳥部山 … 名詞

・ の … 格助詞

・ 煙 … 名詞

・ 立ち去ら … ラ行四段活用の動詞「立ち去る」の未然形

・ で … 接続助詞

・ のみ … 副助詞

・ 住み果つる … タ行下二段活用の動詞「住み果つ」の連体形

・ 習ひ … 名詞

・ なら … 断定の助動詞「なり」の未然形

・ ば … 接続助詞

・ いかに … 副詞

・ もののあはれ … 名詞

・ も … 係助詞

・ なから … ク活用の形容詞「なし」の未然形

・ ん … 推量の助動詞「ん」の連体形

・ 世 … 名詞

・ は … 係助詞

・ 定めなき … ク活用の形容詞「定めなし」の連体形

・ こそ … 係助詞

・ いみじけれ … シク活用の形容詞「いみじ」の已然形

・ 命 … 名詞

・ ある … ラ行変格活用の動詞「あり」の連体形

・ もの … 名詞

・ を … 格助詞

・ 見る … マ行上一段活用の動詞「見る」の連体形

・ に … 接続助詞

・ 人 … 名詞

・ ばかり … 副助詞

・ 久しき … シク活用の形容詞「久し」の連体形

・ は … 係助詞

・ なし … ク活用の形容詞「なし」の終止形


    [ 品詞分解2 ]

・ かげろふ … 名詞

・ の … 格助詞

・ 夕べ … 名詞

・ を … 格助詞

・ 待ち … タ行四段活用の動詞「待つ」の連用形

・ 夏 … 名詞

・ の … 格助詞

・ 蝉 … 名詞

・ の … 格助詞

・ 春秋 … 名詞

・ を … 格助詞

・ 知ら … ラ行四段活用の動詞「知る」の未然形

・ ぬ … 打消の助動詞「ず」の連体形

・ も … 係助詞

・ ある … ラ行変格活用の動詞「あり」の連体形

・ ぞ … 終助詞

・ かし … 終助詞

・ つくづくと … 副詞

・ 一年 … 名詞

・ を … 格助詞

・ 暮らす … サ行四段活用の動詞「暮らす」の連体形

・ ほど … 名詞

・ だに … 副助詞

・ も … 係助詞

・ こよなう … ク活用の形容詞「こよなし」の連用形(音便)

・ のどけし … ク活用の形容詞「のどけし」の終止形

・ や … 間投助詞

・ 飽か … カ行四段活用の動詞「飽く」の未然形

・ ず … 打消の助動詞「ず」の連用形

・ 惜し … シク活用の形容詞「惜し」の終止形

・ と … 格助詞

・ 思は … ハ行四段活用の動詞「思ふ」の未然形

・ ば … 接続助詞

・ 千年 … 名詞

・ を … 格助詞

・ 過ぐす … サ行四段活用の動詞「過ぐす」の終止形

・ とも … 接続助詞

・ 一夜 … 名詞

・ の … 格助詞

・ 夢 … 名詞

・ の … 格助詞

・ 心地 … 名詞

・ こそ … 係助詞

・ せ … サ行変格活用の動詞「す」の未然形

・ め … 推量の助動詞「む」の已然形


    [ 品詞分解3 ]

・ 住み果て … タ行下二段活用の動詞「住み果つ」の未然形

・ ぬ … 打消の助動詞「ず」の連体形

・ 世 … 名詞

・ に … 格助詞

・ みにくき … ク活用の形容詞「みにくし」の連体形

・ 姿 … 名詞

・ を … 格助詞

・ 待ちえ … ア行下二段活用の動詞「待ちう」の連用形

・ て … 接続助詞

・ 何 … 代名詞

・ かは … 係助詞

・ せ … サ行変格活用の動詞「す」の未然形

・ ん … 推量の助動詞「ん」の連体形

・ 命 … 名詞

・ 長けれ … ク活用の形容詞「長し」の已然形

・ ば … 接続助詞

・ 辱 … 名詞

・ 多し … ク活用の形容詞「多し」の終止形

・ 長く … ク活用の形容詞「長し」の連用形

・ とも … 接続助詞

・ 四十 … 名詞

・ に … 格助詞

・ 足ら … ラ行四段活用の動詞「足る」の未然形

・ ぬ … 打消の助動詞「ず」の連体形

・ ほど … 名詞

・ にて … 格助詞

・ 死な … ナ行変格活用の動詞「死ぬ」の未然形

・ ん … 婉曲の助動詞「ん」の連体形

・ こそ … 係助詞

・ めやすかる … ク活用の形容詞「めやすし」の連体形

・ べけれ … 推量の助動詞「べし」の已然形

・ そ … 代名詞

・ の … 格助詞

・ ほど … 名詞

・ 過ぎ … ガ行上二段活用の動詞「過ぐ」の連用形

・ ぬれ … 完了の助動詞「ぬ」の已然形

・ ば … 接続助詞

・ かたち … 名詞

・ を … 格助詞

・ 恥づる … ダ行上二段活用の動詞「恥づ」の連体形

・ 心 … 名詞

・ も … 係助詞

・ なく … ク活用の形容詞「なし」の連用形


    [ 品詞分解4 ]

・ 人 … 名詞

・ に … 格助詞

・ 出で … ダ行下二段活用の動詞「出づ」の連用形

・ まじらは … ハ行四段活用の動詞「まじらふ」の未然形

・ ん … 婉曲の助動詞「ん」の連体形

・ こと … 名詞

・ を … 格助詞

・ 思ひ … ハ行四段活用の動詞「思ふ」の連用形

・ 夕べ … 名詞

・ の … 格助詞

・ 陽 … 名詞

・ に … 格助詞

・ 子孫 … 名詞

・ を … 格助詞

・ 愛し … サ行変格活用の動詞「愛す」の連用形

・ て … 接続助詞

・ さかゆく … カ行四段活用の動詞「さかゆく」の連体形

・ 末 … 名詞

・ を … 格助詞

・ 見 … マ行上一段活用の動詞「見る」の未然形

・ ん … 婉曲の助動詞「ん」の終止形

・ まで … 副助詞

・ の … 格助詞

・ 命 … 名詞

・ を … 格助詞

・ あらまし … サ行四段活用の動詞「あらます」の連用形

・ ひたすら … 副詞

・ 世 … 名詞

・ を … 格助詞

・ むさぼる … ラ行四段活用の動詞「むさぼる」の連体形

・ 心 … 名詞

・ のみ … 副助詞

・ 深く … ク活用の形容詞「深し」の連用形

・ もののあはれ … 名詞

・ も … 係助詞

・ 知ら … ラ行四段活用の動詞「知る」の未然形

・ ず … 打消の助動詞「ず」の終止形

・ なりゆく … カ行四段活用の動詞「なりゆく」の連体形

・ なん … 係助詞

・ あさましき … シク活用の形容詞「あさまし」の連体形






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