不死の道


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 [ 現代語訳・書き下し文1 ]

不死之道・列子 現代語訳・書き下し文


     [ 語句・句法 ]

・ 使A〜 … Aに〜させようとする

  読み「Aヲシテ〜しム」(使役)

・ 受く … 受け取る

・ 捷やかならず … 急いで行かなかった

・ 将〜 … 今にも〜ようとする

  読み「まさニ〜ントす」(再読文字)


 [ 現代語訳・書き下し文2 ]

不死之道・列子 現代語訳・書き下し文

     [ 語句・句法 ]

・ 幸臣 … 寵愛されている臣

・ 憂ふ … 心配する

・ 急なり … 差し迫った様子

・ 安〜也 … どうして〜か、〜ない

  読み「いずクンゾ〜や」(反語)


 [ 現代語訳・書き下し文3 ]

不死之道・列子 現代語訳・書き下し文

     [ 語句・句法 ]

・ 膺を撫す … 胸を打つ

・ 恨む … 残念に思う


 [ 現代語訳・書き下し文4 ]

不死之道・列子 現代語訳・書き下し文

     [ 語句・句法 ]

・ 所以 … 根拠

・ 術 … 技術


 [ 現代語訳・書き下し文5 ]

不死之道・列子 現代語訳・書き下し文

     [ 語句・句法 ]

・ 数 … 占い・天文・暦などに関する術

・ 訣 … 奥義

・ 喩す … 告げる

・ 志す … 覚える


 [ 現代語訳・書き下し文6 ]

不死之道・列子 現代語訳・書き下し文

     [ 語句・句法 ]

・ 奚為〜哉 … どうして〜か、〜ない

  読み「なんすレゾ〜や」(反語)




    [ 原文 ]

 昔、人有言知不死之道者。

 燕君使人受之。

 不捷、而言者死。

 燕君甚怒其使者、将加誅焉。

 幸臣諫曰、「人所憂者、莫急乎死。

 己所重者、莫過乎生。

 彼自喪其生。安能令君不死也。」

 乃不誅。

 有斉子、亦欲学其道。

 聞言者之死、乃撫膺而恨。

 富子聞而笑之曰、「夫所欲学不死。

 其人已死、而猶恨之。

 是不知所以為学。」

 胡子曰、「富子之言非也。

 凡人有術不能行者、有矣。

 能行而無其術者、亦有矣。

 衛人有善数者。

 臨死以訣喩其子。

 其子志其言、而不能行也。

 他人問之、以其父所言告之。

 問者用其言、而行其術、

 与其父無差焉。

 若然、死者奚為不能言生術哉。」


    [ 現代語訳 ]

昔、ある人で、死なない方法を知っていると言う者がいた。

燕国の君主が人をやって不死の方法を会得させようとした。

急いで行かなかったために、不死の方法を知っていると言う者が死んだ。

燕国の君主は非常にその使者のことを怒り、今にも死罪で処罰しようとした。

寵愛されている臣が諫めて言うには、「人が心配することには、死ぬことより切迫したものはありません。自分が大切に思うことには、生きること以上のものはありません。その人自身が自分の命を失いました。どうして君主を死なせないことができましょうか。」と。

そこで死刑にしなかった。

斉子という者がいた、同様に、その道を学ぼうと思った。

不死の方法を知っていると言う者が死んだのを聞いて、胸を打って残念がった。

富子が聞いてこれを笑って言うには、「そもそも学ぼうと思ったのは不死の方法だ。その人がすでに死んでしまって、それでもなお、これを残念がっている。これは不死の方法を学ぶ理由がわかっていないのだ。」と。

胡子が言うには、「富子が言っていることは誤りだ。一般に、人には技術があって実行できない者がいる。実行することはできるが、その技術のない者も、同様に存在する。

衛国の人に占い・暦などの技術に優れている者がいた。死ぬまぎわに奥義を自分の子に告げた。その子は親の言ったことを覚えていたが、それなのに実行することはできなかったのだ。

他の人が数術について尋ねたところ、自分の父の言ったことをその人に告げた。尋ねた者が、告げられた言葉どおりに、その技術を実行したところ、その父親と違いがなかった。

もしそうだとしたら、どうして死んだ者は生きる術を言えないことになるのか。」と。




    [ 書き下し文 ]

昔、人に不死の道を知ると言ふ者有り。

燕の君人をして之を受けしむ。

捷やかならずして、言ふ者死す。

燕の君甚だ其の使者を怒り、将に誅を加へんとす。

幸臣諫めて曰はく、「人の憂ふる所の者は、死より急なるは莫し。己の重んずる所の者は、生より過ぎたるは莫し。彼自ら其の生を喪へり。安くんぞ能く君をして死せざらしめんや。」と。

乃ち誅せず。

斉子なるもの有り、亦其の道を学ばんと欲す。

言ふ者の死せるを聞き、乃ち膺を撫して恨む。

富子聞きて之を笑ひて曰はく、「夫れ学ばんと欲する所は不死なり。其の人已に死して、而も猶ほ之を恨む。是れ学を為す所以を知らず。」と。

胡子曰はく、「富子の言は非なり。凡そ人には術有りて行ふ能はざる者、有り。能く行ひて其の術無き者も、亦有り。

衛人に数を善くする者有り。死に臨みて訣を以つて其の子に喩す。其の子其の言を志すも、而も行ふ能はざるなり。

他人之を問へば、其の父の言ふ所を以つて之に告ぐ。問ふ者其の言を用ゐて、其の術を行ふに、其の父と差ふ無し。

若し然らば、死者奚為れぞ生術を言ふ能はざらんや。」と。






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