天の羽衣


・ 竹取物語「かぐや姫の昇天」の「天人の中に持たせたる箱あり。天の羽衣入れり。」から始まる箇所の現代語訳・品詞分解です。

・ 500個ほど有るといわれている重要語句はカラーで表示しています。150個ほど有るといわれている最重要語句には印を付けています。

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天の羽衣(前半)「立てる人どもは、装束の清らなること、ものにも似ず。〜」



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       [ 現代語訳・品詞分解・原文 ]

天の羽衣・竹取物語 現代語訳・品詞分解・原文


       [ 詳しい解説 ]

・ 敬語法について
・ 敬語は、一般的に、作者の敬意を表します。
・ 尊敬語は、動作の主体に対する、謙譲語は、動作の相手に対する、
  丁寧語は、読者に対する、作者の敬意を表します。
・ 会話においては、話者の敬意を表します。
  会話において、丁寧語は、話し相手に対する話者の敬意を表します。
・ 解説では、たとえば、作者のかぐや姫に対する敬意を次のように記載します。
  敬意:作者 ⇒ かぐや姫


天人の中に持たせたる箱あり。
天人の中に持たせている箱がある。
・ 持た … タ行四段活用の動詞「持つ」の未然形
・ せ … 使役の助動詞「す」の連用形
・ たる … 存続の助動詞「たり」の連体形
・ あり … ラ行変格活用の動詞「あり」の終止形

天の羽衣入れり。またあるは、不死の薬入れり。
天の羽衣が入っている。もう一つの箱には、不死の薬が入っている。
・ 入れ … ラ行四段活用の動詞「入る」の命令形
・ り … 存続の助動詞「り」の終止形
・ ある … ラ行変格活用の動詞「あり」の連体形
・ 入れ … ラ行四段活用の動詞「入る」の命令形
・ り … 存続の助動詞「り」の終止形

一人の天人言ふ、「壺なる御薬奉れ。
一人の天人が言うには、「壺にあるお薬を召し上がれ。
・ 言ふ … ハ行四段活用の動詞「言ふ」の連体形
・ なる … 存在の助動詞「なり」の連体形
・ 奉れ … ラ行四段活用の動詞「奉る」の命令形
○ 奉る(尊敬語) … 敬意:天人 ⇒ かぐや姫

きたなき所のもの聞こしめしたれば、御心地あしからむものぞ。」とて、
けがれた所の物を召し上がったので、ご気分が悪いことでしょうよ。」と、
・ きたなき … ク活用の形容詞「きたなし」の連体形
・ 聞こしめし … サ行四段活用の動詞「聞こしめす」の連用形
☆ 聞こしめす … 召し上がる
○ 聞こしめす(尊敬語) … 敬意:天人 ⇒ かぐや姫
・ たれ … 完了の助動詞「たり」の已然形
・ あしから … シク活用の形容詞「あし」の未然形
☆ あし … (体調が)すぐれない
・ む … 推量の助動詞「む」の連体形


   


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持て寄りたれば、わづかなめ給ひて、少し形見とて、
持って近寄ってきたので、ちょっとおなめになって、少し形見として、

脱ぎ置く衣に包まむとすれば、ある天人包ませず。
脱いで置いていく着物に包もうとすると、そこにいる天人が包ませない。

御衣を取り出でて着せむとす。
天の羽衣を取り出して着せようとする。

その時に、かぐや姫、「しばし待て。」と言ふ。
その時に、かぐや姫が、「しばらく待て。」と言う。

「衣着せつる人は、心異になるなりといふ。
「天の羽衣を着せた人は、心が変わるのだという。

もの一言言ひ置くべきことありけり。」と言ひて、文書く。
一言言い残しておくべきことがあります。」と言って、手紙を書く。

天人、「遅し。」と心もとながり給ふ。
天人は、「遅い。」とじれったがりなさる。

かぐや姫、「もの知らぬこと、なのたまひそ。」とて、
かぐや姫は、「わからないことを、おっしゃいますな。」と言って、

いみじく静かに、おほやけに御文奉り給ふ。
とても静かに、帝にお手紙を差し上げなさる。

あわてぬさまなり。
落ち着いた様子だ。

「かくあまたの人を給ひてとどめさせ給へど、許さぬ迎へ
「こんなに大勢の人を遣わされてお引きとめなさいますが、許さない迎えが

まうで来て、取りゐてまかりぬれば、くちをしく悲しきこと。
やって参って、私を召し連れて参りますので、残念で悲しいことです。

宮仕へ仕うまつらずなりぬるも、かくわづらはしき
宮仕えをいたさぬままになったのも、このように複雑な

身にて侍れば。心得ず思しめされつらめども、
身の上でございますので。納得できないとお思いになられているでしょうが、

心強く承らずなりにしこと、なめげなる者に
強情にお受けしないままになりましたことを、無礼な者だと

思しめしとどめられぬるなむ、心にとまり侍りぬる。」とて、
お心にとどめられてしまいましたことが、心残りでございます。」と書いて、

  今はとて天の羽衣着る折ぞ
  もう最後だと思って天の羽衣を着るときになって、

  君をあはれと思ひ出でける
  あなた様のことをしみじみ思い出すことです。

とて、壺の薬添へて、頭中将呼び寄せて、奉らす。
と詠んで、壺の薬を添えて、頭中将を呼び寄せて、献上させる。

中将に、天人取りて伝ふ。
中将に、天人が取って渡す。

中将取りつれば、ふと天の羽衣うち着せ奉りつれば、
中将が受け取ったので、さっと天の羽衣をお着せ申し上げたところ、

翁を、いとほしく、かなしとおぼしつることも失うせぬ。
翁を、気の毒だ、ふびんだとお思いになっていたことも消え失せた。

この衣着つる人は、もの思ひなくなりにければ、
この天の羽衣を着た人は、悩むことがなくなってしまったので、

車に乗りて、百人ばかり天人具して、昇りぬ。
車に乗って、百人ほどの天人を引き連れて、天に昇った。


   






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