鶏鳴狗盗


・ 「鶏鳴狗盗」とは、「小さな策を弄する者、つまらない技能の持ち主、また、つまらないことも何かの役に立つことがある」という意味である。

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 [ 現代語訳・書き下し文1 ]

鶏鳴狗盗・十八史略 現代語訳・書き下し文・読み


     [ 語句・句法 ]

・ 庶弟 … 異母弟

・ 封ず … 領土を与える

・ 食客 … 客の待遇で抱えられた人

・ 号す … 名づける

・ 賢なり … 才知や人格が優れている

・ 乃ち … そこで

・ 質 … 人質

・ 見ゆ … お目にかかる


 [ 現代語訳・書き下し文2 ]

鶏鳴狗盗・十八史略 現代語訳・書き下し文・読み


     [ 語句・句法 ]

・ 〜則 … 〜すると

・ 欲〜 … 〜しようとする

・ 使A〜 … Aに〜させる

   読み「Aをして〜しむ」(使役)

・ 幸姫 … かわいがっている婦人

・ 抵る … 到着する

・ 解く … 解き放す

・ 願はくは〜 … 〜を願う

・ 狐白裘 … 狐のわきの下の白毛をたくさん集めて作った皮衣


 [ 現代語訳・書き下し文3 ]

鶏鳴狗盗・十八史略 現代語訳・書き下し文・読み


     [ 語句・句法 ]

・ 蓋し … 実は

・ 献ず … 上位者に物を差し上げる

・ 客 … 食客

・ 狗盗 … こそどろ

・ 得〜 … 〜できる


 [ 現代語訳・書き下し文4 ]

鶏鳴狗盗・十八史略 現代語訳・書き下し文・読み


     [ 語句・句法 ]

・ 即ち … すぐに

・ 馳す … 馬や馬車を走らせる

・ 夜半 … 夜中

・ 法 … 定め

・ 方に … その時に

・ 能〜 … 〜できる


 [ 現代語訳・書き下し文5 ]

鶏鳴狗盗・十八史略 現代語訳・書き下し文・読み


     [ 語句・句法 ]

・ 尽く … すっかり

・ 遂に … その結果

・ 伝を発す … 通行手形を発行する

・ 食頃 … わずかな時間

・ 果たして … 思ったとおり

・ 〜而 … 〜したが(置き字・逆接)

・ 与〜 … 〜とともに

・ 伐つ … 攻める

・ 城 … 城壁に囲まれた町

・ 割く … 割譲する

・ 和す … 和睦する


     [ 原文 ]

 靖郭君田嬰者、宣王之庶弟也。

 封於薛。有子曰文。食客数千人。

 名声聞於諸侯。号為孟嘗君。

 秦昭王、聞其賢、乃先納質於斉、以求見。

 至則止、囚欲殺之。

 孟嘗君、使人抵昭王幸姫求解。

 姫曰、「願得君狐白裘。」

 蓋孟嘗君、嘗以献昭王、無他裘矣。

 客有能為狗盗者。

 入秦蔵中、取裘以献姫。

 姫為言得釈。

 即馳去、変姓名、夜半至函谷関。

 関法、鶏鳴方出客。

 恐秦王後悔追之。

 客有能為鶏鳴者。

 鶏尽鳴。遂発伝。

 出食頃、追者果至、而不及。

 孟嘗君、帰怨秦、与韓・魏伐之、入函谷関。

 秦割城以和。


     [ 現代語訳 ]

靖郭君田嬰は、宣王の腹違いの弟である。

薛に領土を与えられた。

子供があり文といった。

食客を何千人も養っていた。

その評判は諸侯に知れ渡っていた。

孟嘗君と呼ばれた。

秦の昭王は、孟嘗君が優れた人物であることを聞き、そこでまず人質を斉に送り、会見を申し込んだ。

到着すると引き止め、捕らえて殺そうとした。

孟嘗君は、人を昭王のお気に入りの婦人のところに派遣して、解放してもらえるよう頼ませた。

婦人が言うには、「どうかあなたがお持ちの狐のわきの下の白毛で作った皮衣をください。」と。

実のところ、孟嘗君は以前それを昭王に献上しており、他の皮衣がなかった。

食客の中にこそどろを上手にできる者がいた。

秦の蔵の中に入って、皮衣を盗み出して婦人に差し上げた。

婦人が孟嘗君のために説得したので解放されることができた。

すぐに馬を走らせて逃げ去り、姓名を変えて、夜中に函谷関に到着した。

関所の規則では、鶏が鳴いてはじめて旅人を通すことになっていた。

秦王があとで後悔して自分を追うことを恐れた。

食客の中に鶏の鳴きまねを上手にできる者がいた。

鶏がいっせいに鳴いた。

そこで通行を許可した。

出てからまもなく、追っ手が思ったとおりやって来たが、追いつかなかった。

孟嘗君は、帰って秦を怨んで、韓・魏とともに秦を攻撃して、函谷関に攻め込んだ。

秦は町を割譲して和睦した。


     [ 書き下し文 ]

靖郭君田嬰は、宣王の庶弟なり。

薛に封ぜらる。子有り文と曰ふ。

食客数千人。名声諸侯に聞こゆ。

号して孟嘗君と為す。

秦の昭王、其の賢なるを聞き、乃ち先づ質を斉に納れ、以て見えんことを求む。

至れば則ち止め、囚へて之を殺さんと欲す。

孟嘗君、人をして昭王の幸姫に抵りて解かんことを求めしむ。

姫曰はく、「願はくは君の狐白裘を得ん。」と。

蓋し孟嘗君、嘗て以て昭王に献じ、他の裘無し。

客に能く狗盗を為す者有り。秦の蔵中に入り、裘を取りて以て姫に献ず。

姫為に言ひて釈さるるを得たり。

即ち馳せ去り、姓名を変じて、夜半函谷関に至る。

関の法、鶏鳴きて方に客を出だす。

秦王の後に悔いて之を追はんことを恐る。

客に能く鶏鳴を為す者有り。

鶏尽く鳴く。遂に伝を発す。

出でて食頃にして、追ふ者果たして至るも、及ばず。

孟嘗君、帰りて秦を怨み、韓・魏と之を伐ち、函谷関に入る。

秦城を割きて以て和す。








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