航西日記


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 [ 現代語訳・書き下し文1 ]

航西日記・森鴎外 現代語訳・書き下し文


     [ 語句・句法 ]

・ 洎第尼 … サルデーニャ島

・ 哥塞牙 … コルシカ島

・ 拿破崙 … ナポレオン

・ 境 … 地域


   [ 原文 ]

 初六日。風波如昨。

 午後四時、望洎第尼山脈。

 十時過哥塞牙、洎第尼之間。

 哥塞牙者拿破崙一世所生之地。

 今過此境。不能無感。


 [ 現代語訳・書き下し文2 ]

航西日記・森鴎外 現代語訳・書き下し文


     [ 語句・句法 ]

・ 往事 … 昔のできごと

・ 他年 … 後年

・ 席捲する … 片端から領土を攻め取る

・ 小園 … 小さな庭

・ 沈思 … 深く考え込むこと


   [ 原文 ]

 往 事 如 雲 不 可 追

 英 雄 故 里 水 之 涯

 他 年 席 捲 欧 洲 志

 已 在 小 園 沈 思 時


航西日記・森鴎外 形式・押韻・対句・主題

   [ 現代語訳 ]

十月六日。風も波も昨日と同様である。

午後四時、サルデーニャ島の山脈を遠く眺める。

十時、コルシカ島とサルデーニャ島の間を通り過ぎる。

コルシカ島はナポレオン一世の生まれた地である。

今、この地域を通り過ぎて、何も感じないではいられない。


昔のできごとは、雲と同様、追いかけることができない。

英雄の故郷は水辺にある。

後年、ヨーロッパ各地を攻め取ろうという野望は、

すでに小さな庭で思索していた時に生じていたのだろう。


   [ 書き下し文 ]

初六日。風波昨のごとし。

午後四時、洎第尼の山脈を望む。

十時、哥塞牙、洎第尼の間を過ぐ。

哥塞牙は拿破崙一世の生まれし所の地なり。

今此の境を過ぎて、感無きこと能はず。


往事雲のごとく追ふべからず。

英雄の故里水の涯。

他年欧洲を席捲せんとするの志。

已に小園沈思の時に在り。






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