先従隗始


・ 「先従隗始」とは、「①優れた者を招きたいなら自分のような平凡な者を重く用いなさい、②大きな事業をするには手近な事から始めなさい、③何事もまず自分自身から始めなさい」という意味です。

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 [ 現代語訳・書き下し文1 ]

先従隗始・十八史略 現代語訳・書き下し文・読み


     [ 語句・句法 ]

・ 立てる … 高位につかせる

・ 死を弔ふ … 戦死者を弔う

・ 生を問ふ … 生存者を慰問する

・ 辞を卑くす … 言葉を丁寧にする

・ 幣を厚くす … 礼物を十分にする

・ 孤 … 王侯が自分を卑下して言う言葉

・ 〜に因る … 〜に応じる


 [ 現代語訳・書き下し文2 ]

先従隗始・十八史略 現代語訳・書き下し文・読み


     [ 語句・句法 ]

・ 報ずる … 仕返しをする

・ 誠に … 本当に

・ 賢士 … 優れた人物

・ 国を共にす … 相談しながら国政を行なう

・ 雪ぐ … 除き去る

・ 可なる者 … ふさわしい人物

・ 視す … さし示す、教える

・ 身 … わたし

・ 事ふ … 師事する


 [ 現代語訳・書き下し文3 ]

先従隗始・十八史略 現代語訳・書き下し文・読み


     [ 語句・句法 ]

・ 使A〜 … Aに〜させる

・ 涓人 … 君主の側に仕える人


 [ 現代語訳・書き下し文4 ]

先従隗始・十八史略 現代語訳・書き下し文・読み


     [ 語句・句法 ]

・ A且〜、況B乎 … 「抑揚形」

  読み「Aスラかツ〜、いはンヤBヲや」

  意味「Aでさえ〜、ましてBは〜」

・ 期年 … まる一年

・ 今 … かりに今(仮定)

・ 従り … 〜から(起点)

・ A〜於B … AはBよりも〜(比較)

・ 豈〜哉 … 「反語形」

  読み「あニ〜や」

  意味「どうして〜か、いや〜ない」


 [ 現代語訳・書き下し文5 ]

先従隗始・十八史略 現代語訳・書き下し文・読み


     [ 語句・句法 ]

・ 是に於いて … それで

・ 改めて … 新たに

・ 宮 … 邸宅

・ 亜A … Aに次ぐもの

・ 卿 … 政治の要職にある大臣・長官

・ 已にして … やがて、そのうちに

・ 走る … 逃亡する

・ 乗ず … うまく利用する

・ 下す … 攻め落とす




     [ 原文 ]

 燕人立太子平為君。

 是為昭王。

 弔死問生、卑辞厚幣、以招賢者。

 問郭隗曰、「斉因孤之国乱、而襲破燕。

 孤極知燕小不足以報。


 誠得賢士与共国、以雪先王之恥、

 孤之願也。

 先生視可者。得身事之。」

 隗曰、「古之君、

 有以千金使涓人求千里馬者。

 買死馬骨五百金而返。

 君怒。

 涓人曰、『死馬且買之、況生者乎。

 馬今至矣。』

 不期年、千里馬至者三。

 今王必欲致士、先従隗始。

 況賢於隗者、豈遠千里哉。」

 於是昭王為隗改築宮、師事之。

 於是士争趨燕。

 楽毅自魏往。以為亜卿、任国政。

 已而使毅伐斉。入臨淄。斉王出走。

 毅乗勝、六月之間、下斉七十余城。


     [ 現代語訳 ]

燕の国の人々は太子平を擁立して君主とした。

これが昭王である。

戦死者を弔い生存者を見舞い、言葉づかいを丁寧にし、礼物を手厚くして、優れた人物を呼び寄せた。

郭隗に尋ねて言うには、「斉は私の国が乱れているのに乗じて、襲ってきて燕を破った。

私は燕が小国であり報復するのに力不足であることを十分承知している。

ぜひとも優れた人物を得て一緒に国政を行ない、そして先代の王の恥をすすぐことが、私の念願である。

先生、適当な人物を教えて下さい。

私はその方に師事したい。」と。

郭隗が言うには、「昔の君主に、千金の金で、側に仕える者に一日に千里を走る名馬を買い求めさせた人がいました。

死んだ馬の骨を五百金で買って帰りました。君主は怒りました。


側に仕える者が言いました、『死んだ馬でさえ買うのです、まして生きている馬なら、なおさらでしょう。馬はすぐにやって来るでしょう。』と。

まる一年もたたないうちに千里の馬が三頭もやって来ました。

かりに今、王がどうしても優れた人物を招きたいのなら、まず隗からお始め下さい。

まして隗より優れた人物は、どうして千里の道を遠いと思うでしょうか、いや、思わないでしょう。」と。


それで、昭王は隗のために邸宅を新築し、これに師事した。

それで、立派な人物が争って燕にやって来た。

楽毅は魏から向かった。

亜卿にして、国政を任せた。

やがて楽毅に斉を攻撃させた。

臨淄に進行した。

斉王は脱出し逃亡した。

楽毅は勝利の勢いに乗って、六ヶ月の間に、斉の七十余りの城を攻め落とした。




     [ 書き下し文 ]

燕人太子平を立てて君と為す。

是れ昭王たり。

死を弔ひ生を問ひ、辞を卑くし幣を厚くして、以て賢者を招く。

郭隗に問ひて曰はく、「斉孤の国の乱るるに因りて、襲ひて燕を破る。

孤極めて燕の小にして以て報ずるに足らざるを知る。

誠に賢士を得て与に国を共にし、以て先王の恥を雪がんこと、孤の願ひなり。

先生可なる者を視せ。

身之に事ふるを得ん。」と。

隗曰はく、「古の君に、千金を以て涓人をして千里の馬を求めしむる者有り。

死馬の骨を五百金に買ひて返る。君怒る。

涓人曰はく、『死馬すら且つ之を買ふ、況んや生ける者をや。馬今に至らん。』と。

期年ならずして、千里の馬至る者三なり。

今、王必ず士を致さんと欲せば、先づ隗より始めよ。

況んや隗より賢なる者、豈に千里を遠しとせんや。」と。

是に於いて、昭王隗の為に改めて宮を築き、之に師事す。

是に於いて、士争ひて燕に趨く。

楽毅は魏より往く。

以て亜卿と為し、国政に任ず。

已にして毅をして斉を伐たしむ。

臨淄に入る。斉王出でて走る。

毅勝に乗じ、六月の間に、斉の七十余城を下す。







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