春夜桃李園に宴するの序


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・ 春夜宴桃李園序には、「四六駢儷体」が用いられています。「四六駢儷体」とは、「四字と六字の句を基本とし対句を多用する華麗な文体」を意味します。





 [ 現代語訳・書き下し文1 ]

春夜宴桃李園序 書き下し文


     [ 語句・句法 ]

・ 夫れ … そもそも

・ 逆旅 … 宿屋

・ 光陰 … 年月、時間

・ 百代 … 永遠

・ 過客 … 旅人

・ 而して … そして

・ 浮生 … はかない人生

・ 〜の若し … 〜のようである(比況)

・ 幾何か … どれほどか(疑問)

・ 秉る … 手に持つ

・ 以 … 理由


 [ 現代語訳・書き下し文2 ]

春夜宴桃李園序 現代語訳・書き下し文


     [ 語句・句法 ]

・ 況〜 … まして〜はなおさらだ

  読み「況んや〜をや」(抑揚)

・ 大塊 … 天地、大自然

・ 仮す … 貸し与える

・ 李 … すもも

・ 芳園 … よい香りのする庭園

・ 天倫 … 一族の兄弟

・ 序す … 順序よく行なう


 [ 現代語訳・書き下し文3 ]

春夜宴桃李園序 現代語訳・書き下し文


     [ 語句・句法 ]

・ 群季 … 多くの弟たち

・ 俊秀 … 才能のある者

・ 恵連 … 謝恵連:南朝宋の詩人

・ 康楽 … 謝霊運:南朝宋の詩人

・ 愧づ … 恥じる

・ 幽賞 … 静かに風景を楽しむこと

・ 未〜 … まだ〜ない

   読み「未だ〜ず」(再読文字)

・ 已む … 終わる

・ 高談 … 高尚な話

・ 転た … ますます


 [ 現代語訳・書き下し文4 ]

春夜宴桃李園序 現代語訳・書き下し文


     [ 語句・句法 ]

・ 瓊筵 … 立派な宴席

・ 華 … 花

・ 羽觴 … 雀が羽を広げた形の杯

・ 飛ばす … やり取りする

・ 佳作 … 優れた作品

・ 何ぞ〜 … どうして〜か(反語)

・ 雅懐 … 風雅な思い

・ 金谷の酒数 … 金谷園での罰の杯数




     [ 原文 ]

夫天地者万物之逆旅、光陰者百代之過客。

而浮生若夢、為歓幾何。

古人秉燭夜遊、良有以也。

況陽春召我以煙景、大塊仮我以文章。

会桃李之芳園、序天倫之楽事。

群季俊秀、皆爲恵連。

吾人詠歌、独慚康楽。

幽賞未已、高談転清。

開瓊筵以坐華、飛羽觴而酔月。

不有佳作、何伸雅懐。

如詩不成、罰依金谷酒数。


     [ 現代語訳 ]

そもそも天地は万物の宿屋であり、月日は永遠の旅人である。

そして人生は夢のようなものである、よろこび楽しむ時間はどれほどだろうか。

昔の人は明かりを手に夜も遊んだが、ほんとうに理由があるのだ。

まして暖かな春の霞たなびく景色が私を招き、

造物主が私に詩文の才能を貸し与えてくれるのだから。

桃や李の花のかぐわしい香りのする庭園に集まり、

兄弟たちの楽しい宴会をもよおす。

多くの弟たちの優れた詩文の才能は、みな謝恵連のようである。

私の作る詩文だけは、謝康楽に恥ずかしい。

静かに風景を楽しむことはまだ終わらず、高尚な話はますます清らかになる。

立派な宴席を開いて花の下に座り、

雀が羽を広げた形の杯をやり取りして月を眺めながら酔う。

優れた作品が生まれなければ、どうして風雅な心情を述べることができようか。

もし詩が作れなければ、罰として金谷園の故事にならって酒三杯を飲ませよう。




     [ 書き下し文 ]

夫れ天地は万物の逆旅にして、光陰は百代の過客なり。

而して浮生は夢のごとし、歓を為すこと幾何ぞ。

古人燭を秉りて夜遊ぶ、良に以有るなり。

況んや陽春我を召くに煙景を以てし、大塊我に仮すに文章を以てするをや。

桃李の芳園に会して、天倫の楽事を序す。

群季の俊秀は、皆恵連たり。

吾人の詠歌は、独り康楽に慚づ。

幽賞未だ已まず、高談転た清し。

瓊筵を開きて以て華に坐し、羽觴を飛ばして月に酔ふ。

佳作有らずんば、何ぞ雅懐を伸べん。

如し詩成らずんば、罰は金谷の酒数に依らん。





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