孟母断機


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・ 「孟母断機」は、「物事を途中でやめてしまうこと」を戒めた逸話です。





 [ 現代語訳・書き下し文1 ]

孟母断機・列女伝 現代語訳・書き下し文


     [ 語句・句法 ]

・ 既に〜 … 〜終える

・ 方に … ちょうど

・ 何れ … どこ

・ 自若たり … 落ち着いて動じないさま

・ 織 … 織った物

・ 断つ … 切り分ける

・ 懼る … 恐れる


 [ 孟母断機 現代語訳・書き下し文2 ]

孟母断機・列女伝 現代語訳・書き下し文


     [ 語句・句法 ]

・廃す やめる

・夫れ そもそも

・君子 学識と人格の優れた立派な人

・名を立つ 名声をあげる

・是を以て それだから

・安寧なり 平穏無事なさま

・害 悪い結果を与える物事


 [ 孟母断機 現代語訳・書き下し文3 ]

孟母断機・列女伝 現代語訳・書き下し文


     [ 語句・句法 ]

・ 廝役 … 下僕

・ 禍患 … 不幸

・ 何以〜 … どうして〜か、〜ない

  読み「なにヲもつテ〜ン」(反語) ・ 織 … 布を織ること

・ 績 … 糸を紡ぐこと

・ 食す … 生計を立てる

・ 為す … 仕上げる

・ 糧食 … 食料

・ 乏し … 足りない

・ 寧〜哉 … どうして〜か

  読み「いづクンゾ〜や」(反語)

・ 能〜 … 〜できる(可能)


 [ 孟母断機 現代語訳・書き下し文4 ]

孟母断機・列女伝 現代語訳・書き下し文


     [ 語句・句法 ]

・ 不〜 … 〜しなければ

  読み「〜ずンバ」(仮定)

・ 旦夕 … 朝も晩も

・ 勤む … 励む

・ 師事す … 師として仕え、教えを受ける




     [ 原文 ]

孟子之少也、既学而帰、孟母方織。

問曰、「学何所至矣。」

孟子曰、「自若也。」

孟母以刀断其織。

孟子懼而問其故。

孟母曰、「子之廃学、若吾断斯織也。

夫君子学以立名、問則広知。

是以居則安寧、動則遠害。

今而廃之、是不免於廝役、而無以離於禍患也。

何以異於織績而食、中道廃而不為。

寧能衣其夫・子、而長不乏糧食哉。

女則廃其所食、男則堕於脩徳、不為窃盗、則為虜役矣。」

孟子懼、旦夕勤学不息。

師事子思、遂成天下之名儒。


     [ 現代語訳 ]

孟子が若かった頃、学び終えて帰ったとき、孟子の母親がちょうど機を織っていた。

尋ねて言うには、「学問はどこまで進みましたか。」と。

孟子が言うには、「以前と変わりません。」と。

母親は刃物で織物を切ってしまった。

孟子は恐れてその理由を尋ねた。

孟子の母親が言うには、「あなたが学問をやめてしまうのは、私がこの織物を切っしまうようなものです。

そもそも君子は学問で名声をあげ、尋ねることで知識を広めます。

それで、仕官せずに家にいるときは平穏であり、仕官して活動するときは害悪から遠ざかります。

今の段階で学問をやめてしまうと、下僕になるのを免れないし、不幸から遠ざかることもありません。

布を織ったり糸を紡いだりして生計を立てているのに、途中でやめて仕上げないのとどうして異なるでしょうか。

どうして夫や子どもに服を着せて、ずっと食料不足にさせないでいることができるでしょうか。

女がその生計を立てることをやめ、男が人徳を身につけることを怠れば、盗みをしなければ、下僕になってしまうでしょう。」と。

孟子は恐れて、朝も晩も学問に励んで休むことがなかった。

子思先生の教えを受けて、そのまま天下の名高い儒者となった。




     [ 書き下し文 ]

孟子の少きとき、既に学びて帰るに、孟母方に織る。

問ひて曰はく、「学何れに至る所ぞ。」と。

孟子曰はく、「自若たり。」と。

孟母刀を以て其の織を断つ。

孟子懼れて其の故を問ふ。

孟母曰はく、「子の学を廃するは、吾の斯の織を断つがごときなり。

夫れ君子は学びて以て名を立て、問ひて則ち知を広む。

是を以て居れば則ち安寧にして、動けば則ち害に遠ざかる。

今にして之を廃するは、是れ廝役を免れずして、以て禍患より離るる無きなり。

何を以て織績して食するに、中道にして廃して為さざるに異ならんや。

寧くんぞ能く其の夫・子に衣せて、長く糧食に乏しからざらしめんや。

女則ち其の食する所を廃し、男則ち徳を脩むるを堕れば、窃盗を為さずんば、則ち虜役と為らん。」と。

孟子懼れて、旦夕学に勤めて息まず。

子思に師事し、遂に天下の名儒と成れり。






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