江南の橘江北の枳と為る

・ 縦書き、全漢字に読みつき、ひらがな

HOME(漢文記事一覧)





 [ 現代語訳・書き下し文1 ]

江南橘為江北枳 現代語訳・書き下し文


     [ 語句・句法 ]

・将〜 今から〜しようとする

読み「まさニ〜す」(再読文字)

・ 左右 … 側近の者たち

・ 賢人 … 知恵・行いの優れている人物

・ 方に … ちょうど

・何以〜也 どんな手段で〜か

読み「なにヲもつテ〜や」(疑問)


 [ 現代語訳・書き下し文2 ]

江南橘為江北枳・説苑 現代語訳・書き下し文


     [ 語句・句法 ]

・ 請ふ … どうか〜させてください

・ 縛す … 捕縛する

・ 是に於いて … そういうわけで

・ 何為る者 … どういう者

・ 〜也 … 〜か

   読み「〜や」(疑問)

 [ 現代語訳・書き下し文3 ]

江南橘為江北枳・説苑 現代語訳・書き下し文


     [ 語句・句法 ]

・ 坐す … 事件にかかわる

・ 固より … もともと

・〜乎 〜か

   読み「〜か」(疑問)

・ 反顧す … 振り返って見る


 [ 現代語訳・書き下し文4 ]

江南橘為江北枳・説苑 現代語訳・書き下し文


     [ 語句・句法 ]

・ 使A〜 … Aに〜させる

   読み「Aヲシテ〜しム」(使役)

・ 生ず … 生える

・ 乃ち … かえって

・ 所以 … 理由


 [ 現代語訳・書き下し文5 ]

江南橘為江北枳・説苑 現代語訳・書き下し文


     [ 語句・句法 ]

・ 傷ふ … 傷つける

・ 中つ … 命中させる

・ 得〜乎 … 〜できるだろうか、できないだろう

   読み「〜えンや」(反語)




    [ 原文 ]

晏子将使荊。

荊王聞之、謂左右曰、「晏子賢人也。

今方来。欲辱之。何以也。」

左右対曰、「為其来也、

臣請縛一人、過王而行。」

於是荊王与晏子立語。

有縛一人、過王而行。

王曰、「何為者也。」

対曰、「斉人也。」

王曰、「何坐。」曰、「坐盗。」

王曰、「斉人固盗乎。」

晏子反顧之曰、

「江南有橘、斉王使人取之、

而樹之於江北、生不為橘、乃為枳。

所以然者何。其土地使之然也。

今斉人居斉不盗、来之荊而盗。

得無土地使之然乎。」

荊王曰、「吾欲傷子而反自中也。」


    [ 現代語訳 ]

晏子が今から荊の国に使者として行こうとしていた。

荊王がそれを聞いて、側近の者たちに対して言うには、「晏子は賢明な人物である。今ちょうど来ようとしている。これを辱めたいと思う。どうすればよいか。」と。

側近の者たちが答えて言うには、「もしそれがやって来たら、私にどうか人をひとり捕縛して、王の前を通り過ぎさせてください。」と。

そういうわけで、荊王は晏子と立って話をしていた。

人をひとり捕縛して、王の前を通り過ぎて行く者がいた。

王が言うには、「何者か。」と。

答えて言うには、「斉の国の者です。」と。

王が言うには、「何の罪に問われているのか。」と。

言うには、「盗みの罪に問われています。」と。

王が言うには、「斉の国の人はもともと窃盗をするのか。」と。

晏子が斉の人を振り返って見て言うには、「江南に橘があり、斉の国王が人にこれを取らせて、それを江北に植えたところ、成長して、橘にはならないで、意外にも枳になりました。

そうなった理由は何でしょうか。その土地がこれをそのようにさせたのです。今、斉の国の人が斉にいれば盗みをしませんが、荊にやって来させたら盗みをします。土地が斉の国の人に盗みをさせることはないと言えるでしょうか。」と。

荊王が言うには、「私はあなたを傷つけようとして、反対に自分自身がそうなってしまった。」と。




    [ 書き下し文 ]

晏子将に荊に使ひせんとす。

荊王之を聞きて、左右に謂ひて曰はく、「晏子は賢人なり。今方に来たらんとす。之を辱めんと欲す。何を以てせんや。」と。

左右対へて曰はく、「為し其れ来たらば、臣請ふ一人を縛し、王を過ぎて行かん。」と。

是に於いて荊王晏子と立ちて語る。

一人を縛し、王を過ぎて行くもの有り。

王曰はく、「何為る者ぞや。」と。

対へて曰はく、「斉人なり。」と。

王曰はく、「何にか坐せる。」と。

曰はく、「盗に坐せり。」と。

王曰はく、「斉人固より盗するか。」と。

晏子之を反顧して曰はく、「江南に橘有り、斉王人をして之を取らしめて、之を江北に樹うるに、生じて橘と為らずして、乃ち枳と為る。

然る所以は何ぞ。其の土地之をして然らしむるなり。今斉人斉に居りては盗せず、之を荊に来たせば盗す。土地の之をして然らしむる無きを得んや。」と。

荊王曰はく、「吾子を傷はんと欲して反つて自ら中つるなり。」と。






Copyright プロ家庭教師タカシ All Rights Reserved