侮蔑

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・「侮蔑」は「ぶべつ」と読みます。


・「侮」は「あなどる、見さげる」という意味です。

・「蔑」は「さげすむ、ばかにする」という意味です。

・「侮蔑」「ばかにして見さげること」を意味します。


  [ 例文 ]

 ① 有島武郎の文章から

 待ち遠しそうに二人からのぞき込まれているという意識は、彼の心の落ち着きを狂わ
せて、ややともすると簡単な九々すらが頭に浮かび上がって来なかった。「そこは七じ
ゃなかろうが、四だろうが。」父はこんな差出口をしていたが、その言葉がだんだん荒
荒しくなったと思うと、突然「ええ。」と言って彼から紙をひったくった。「そのくら
いのことができんでどうするのか。」明らかと怒号だった。彼はむしろ呆気に取られて
思わず父の顔を見た。泣き笑いと怒りと入れ交ったような口惜しげな父の眼も烈しく彼
を見込んでいた。そして極度の侮蔑をもって彼からAの方に向きなおると、「あなたひ
とつお願いしましょう、ちょっと算盤を持ってください。」とほとほと好意をこめたと
聞こえるような声で言った。


 ② 夏目漱石の文章から

 道のためにはすべてを犠牲にすべきものだというのが彼の第一信条なのですから、摂
欲や禁欲は無論、たとい欲を離れた恋そのものでも道の妨害になるのです。Aが自活生
活をしている時分に、私はよく彼から彼の主張を聞かされたのでした。その頃からお嬢
さんを思っていた私は、勢いどうしても彼に反対しなければならなかったのです。私が
反対すると、彼はいつでも気の毒そうな顔をしました。そこには同情よりも侮蔑の方が
余計に現われていました。




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