低徊

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・「低徊」は「ていかい」と読みます。


・「低」は「うなだれる」という意味です。

・「徊」は「さまよう」という意味です。

・「低徊」は「何か考えながら行ったり来たりすること」を意味します。

 本文には「選ばないとすれば――下人の考えは、何度も同じ道を低徊したあげくに、
やっとこの局所へ逢着した。」と書かれています。「同じ道」は、明日の暮らしをどう
にかするためには、手段を選んでいるいとまはない、選んでいれば、飢え死をするばか
りである、選ばないとすれば、盗人になるよりほかにしかたがない、という考え方を指
します。「下人の考えは、何度も同じ道を低徊した」は、「下人の考えは、何度も、こ
の考え方にそって行ったり来たりした」という意味です。


  [ 例文 ]

 ① 芥川龍之介の文章から

 あれほど発音の妙を極めた先生も、いざ翻訳をするとなると、ほとんど日本人とは思
われないくらい、日本語の数を知っていない。あるいは知っていても、その場に臨んで
は急には思い出せないのであろう。――だから、少し面倒な語になると、何度もその周
囲を低徊したあげくでなければ、容易にしかるべき訳語にはぶつからない。


 ② 中島敦の文章から

「渓流が流れて来て断崖の近くまで来ると、一度渦巻をまき、さて、それから瀑布とな
って落下する。Aよ。お前は今その渦巻の一歩手前で、ためらっているのだな。一歩渦
巻にまき込まれてしまえば、那落までは一息。その途中に思索や反省や低徊のひまはな
い。




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