余波

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・「余波」は「よは」と読みます。


・「余波」の意味 ① 風がおさまったあとに残る波

         ② 事柄が周囲に及ぼす影響

 本文には「衰微の小さな余波」と書かれています。それまで栄えていた京都の町が並
はずれて衰えたことの影響、という意味です。「小さな余波」と表現されているのは、
その影響を受けて生じた事が、一人の男の失業という社会的には小さな出来事にすぎな
かったからです。


  [ 例文 ]

 ① 夏目漱石の文章から

 令嬢も中々(英語が)旨い。これは米国婦人を家庭教師に雇って、英語を使う事を研究
した、ある物持ちの娘である。Aは、顔より言葉の方が達者だと考えながら、つくづく
感心して聞いていた。Aが此所へ呼ばれたのは、個人的に此所の主人や、この英国人夫
婦に関係があるからではない。全く自分の父と兄との社交的勢力の余波で、招待状が廻
って来たのである。だから、万遍なく方々へ行って、好い加減に頭を下げて、ぶらぶら
していた。


 ② 太宰治の文章から

 宿へ着いた。あばらやでは無かった。小さい宿屋ではあるが、古い落ちつきがあった。
後で女中さんから聞いた事だが、宮様のお宿をした事もあるという。私の案内された部
屋も悪くなかった。部屋に、小さい炉が切ってあった。風呂へはいって鬚を剃り、それ
から私は、部屋の炉の前に端然と正座した。新潟で一日、高等学校の生徒を相手にして
来た余波で、私は、ばかに行儀正しくなっていた。




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