顧みる

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・「顧みる」は「かえりみる」と読みます。


・「顧みる」は、一般的には「あとを振り返って見る」という意味です。

・「顧みる」は「心にとどめて忘れない」という意味です。

 本文には「羅生門の修理などは、もとより誰も捨てて顧みる者がなかった。」と書か
れています。羅生門の修理ということが、誰の心からも消えてしまっていた、という意
味です。


  [ 例文 ]

 ① 岡本かの子の文章から

 彼女の一般の若い生命を愛しむ母性が、この青年に向かってむくむくと頭をもたげる、
この青年はどうかしてやらなければいけない。だがそう思う途端に、たちまち彼女は自
分を顧みる。危い性分である。人一倍情熱を籠めて生れさせられたくせに、家柄の躾け
や病身のために圧搾に圧搾を加えられている。それが自分の内気というものなのだ。


 ② 有島武郎の文章から

 今は車内の人が申し合わせて侮辱でもしているようにAには思えた。Bが隣座にいる
のさえ、一種の苦痛だった。その瞑想的な無邪気な態度が、Aの内部的経験や苦悶と少
しも縁が続いていないで、二人の間には金輪際(こんりんざい)理解が成り立ち得ないと
思うと、彼女は特別に毛色の変わった自分の境界に、そっとうかがい寄ろうとする探偵
をこの青年に見いだすように思って、その五分刈りにした地蔵頭までが顧みるにも足り
ない木のくずかなんぞのように見えた。




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