陸機の犬


・ 縦書き、全漢字に読み、ひらがな

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 [ 現代語訳・書き下し文1 ]

陸機之犬・述異記 現代語訳・書き下し文


     [ 語句・句法 ]

・ 豪客 … 富豪

・ 快犬 … 高速犬

・ 仕ふ … 官職につく

・ 黠慧なり … 賢いさま

・ 能く〜 … 〜できる(可能)


 [ 現代語訳・書き下し文2 ]

陸機之犬・述異記 現代語訳・書き下し文


     [ 語句・句法 ]

・ 京師 … 帝都

・ 羇旅す … 旅行する

・ 問 … 音信

・ 書信 … 手紙


 [ 現代語訳・書き下し文3 ]

陸機之犬・述異記 現代語訳・書き下し文


     [ 語句・句法 ]

・ 齎す … 持って行く

・ 消息 … 便り

・ 馳す … 走る

・ 〜不 … 〜かどうか

  読み「〜ヤいなヤ」(疑問)

・ 盛る … 物を入れる

・ 繋ぐ … 物を結びつける


 [ 現代語訳・書き下し文4 ]

陸機之犬・述異記 現代語訳・書き下し文


     [ 語句・句法 ]

・ 駅路 … 宿駅のある道

・ 肉を噬む … 小動物を食べる

・ 飽く … 腹いっぱい食べること

・ 大水 … 大きな河

・ 依る … 頼る

・ 向かふ … その方向に進む


 [ 現代語訳・書き下し文5 ]

陸機之犬・述異記 現代語訳・書き下し文


     [ 語句・句法 ]

・ 憐愛す … あわれみいつくしむ

・ 裁かなり … 時間の短いさま

・ 騰上す … 勢いよく上がる


 [ 現代語訳・書き下し文6 ]

陸機之犬・述異記 現代語訳・書き下し文


     [ 語句・句法 ]

・ 伺ふ … 相手の様子を探る

・ 如〜 … 〜のようだ

・ 仍ほ … これまでどおり


 [ 現代語訳・書き下し文7 ]

陸機之犬・述異記 現代語訳・書き下し文


     [ 語句・句法 ]

・ 行程 … 道のり

・ 旬 … 十日

・ 殯す … 死体を棺に安置する

・ 遣〜 … 〜させる(使役)




    [ 原文 ]

 陸機少時、頗好猟。

 在呉、豪客献快犬。名曰黄耳。

 機後仕洛、常将自随。

 此犬黠慧、能解人語。

 又嘗借人三百里外、

 犬識路自還、一日至家。

 機羇旅京師、久無家問。

 因戯語犬曰、「我家絶無書信。

 汝能齎書馳取消息不。」

 犬喜、揺尾作声応之。

 機試為書、盛以竹筒、繋之犬頸。

 犬出駅路、走向呉。

 飢則入草、噬肉取飽。

 毎経大水、輒依渡者、弭耳掉尾向之。

 其人憐愛、因呼上舟、

 裁近岸、犬即騰上速去。

 先到機家口、銜筒作声示之。

 機家開筒取書、看畢。

 犬又伺人作声、如有所求。

 其家作荅書、内筒復繋犬頸。

 犬既得荅、仍馳還洛。

 計人行程五旬、犬往還裁半月。

 後犬死、殯之。遣送還葬機村。

 去機家二百歩、聚土為墳。

 村人呼為黄耳塚。




    [ 現代語訳 ]

陸機は若い時、たいそう猟を好んだ。

呉にいたとき、富豪が高速犬を差し上げた。

名前を黄耳という。

陸機は後に洛陽で官職につき、常に一緒にいて、犬は自分でつき従っていた。

この犬は賢くて、人の言葉を理解することができた。

また以前、三百里ほど離れた所の人に貸したが、犬は道を覚えていて自分から帰路につき、一日で家に到着した。

陸機は帝都に旅行して、長い間、家に連絡を取っていなかった。

それで冗談で犬に語って言うには、「私の家にまったく手紙を出していない。

お前、手紙を持って行って連絡を取るのに、ひと走りすることができるか。」と。

犬は喜んで、しっぽを振って吠えてこれに応答した。

陸機はためしに手紙を書いて、竹筒の中に入れて、それを犬の首に結びつけた。

犬は宿駅のある道を出て、走って呉に向かった。

空腹になると草むらに入り、小動物を食べて腹いっぱいにする。

大きな河を渡るときは、いつも渡る人に頼って、耳を垂れてしっぽを振りながら、その人の方に進んだ。

その人は、憐れみ愛しんで、呼んで船に乗せるが、岸に近づくやいなや、犬はすぐに勢いよく上がってさっと走り去った。

まず陸機の家の入口に到着し、筒をくわえて吠えて家の者に知らせる。

陸機の家の者は、筒を開けて手紙を取り、読み終わる。

犬はまた、人の様子を探って吠えて、何らかの要求があるような態度をとる。

その家の者は返事を書き、筒に入れて再び犬の首に結びつける。

犬は返事をもらいおわると、やはり走って洛陽に戻っていく。

人であれば五十日かかる道のりだが、犬はたった半月で往復した。

その後犬が死んで、その死体を棺に安置した。

送り返して陸機の村に葬らせた。

陸機の家から二百歩の所に、土を盛って墓にした。

村人は黄耳の塚と呼んだ。






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