饅頭を畏る


・ 縦書き、全漢字に読み、ひらがな

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 [ 現代語訳・書き下し文1 ]

畏饅頭・笑府 現代語訳・書き下し文


     [ 語句・句法 ]

・ 貧士 … 貧しい者

・ 餒 … 飢え

・ 鬻ぐ … 売る

・ 大呼す … 大声をあげる

・ 仆る … 倒れ伏す

・ 性 … 生まれつき


 [ 現代語訳・書き下し文2 ]

畏饅頭・笑府 現代語訳・書き下し文


     [ 語句・句法 ]

・ 相困しむ … 相手を苦しめる

・ 一笑 … ちょっと笑うこと

・ 冀ふ … 希望する

・ 寂如たり … ひっそりしている様子

・ 門 … 出入り口

・ 啓く … 開く

・ 搏食 … 手づかみで貪り食うこと

・ 詰る … 問い詰める


 [ 現代語訳・書き下し文3 ]

畏饅頭・笑府 現代語訳・書き下し文


     [ 語句・句法 ]

・ 忽ち … 急に

・ 叱す … 叱りつける

・ 尚ほ … さらに

・ 〜乎 … 〜か(疑問)

・ 苦茶両碗 … お茶二杯




     [ 原文 ]

 有貧士、餒甚。見市有鬻饅頭者。

 偽大呼仆地。主人驚問其故。

 曰、「吾性畏饅頭。」

 主人因設数十枚于空室中而閉士于内、

 冀相困以為一笑。

 久之寂如。乃啓門見、其搏食過半。

 詰之則曰、「不知何故、忽不覚畏。」

 主人怒叱曰、「汝得無尚有他畏乎。」

 曰、「無他。此際只畏苦茶両碗。」


     [ 現代語訳 ]

貧しい男がいて、ひどく腹をすかしていた。

市場で饅頭を売る者がいるのを見た。

偽って大声をあげて地面に倒れ伏した。

主人が驚いてその理由を尋ねた。

言うには、「私は生まれつき饅頭が怖いのです。」と。

主人はそこで数十個を空き部屋の中に置き、男を内側に閉じ込めて、苦しめてちょっと笑ってやろうと思った。

しばらくたったがひっそりとしている。

そこで出入り口を開けて見ると、手づかみで半分以上貪り食っている。

これを問い詰めると言うには、「どんな理由かわかりませんが、急に怖くなくなったのです。」と。

主人が怒り叱りつけて言うには、「おまえはさらに他に怖いものはないのか。」と。

言うには、「他にはありません。今はただお茶二杯が怖いだけです。」と。




     [ 書き下し文 ]

貧士有り、餒甚だし。市に饅頭を鬻ぐ者有るを見る。

偽りて大呼して地に仆る。

主人驚きて其の故を問ふ。

曰はく、「吾が性饅頭を畏る。」と。

主人因りて数十枚を空室中に設け、而して士を内に閉ぢ、相困しめて以て一笑を為さんことを冀ふ。

之を久しくして寂如たり。

乃ち門を啓きて見れば、其の搏食半ばを過ぐ。

之を詰れば則ち曰はく、「何れの故かを知らず、忽ち畏るるを覚えず。」と。

主人怒り叱して曰はく、「汝尚ほ他に畏るるもの有ること無きを得んや。」と。

曰はく、「無他し。此の際只だ苦茶両碗を畏るるのみ。」と。






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