新死鬼


・ 縦書き、全漢字に読み、ひらがな

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 [ 現代語訳・書き下し文1 ]

新死鬼・幽明録 現代語訳・書き下し文


     [ 語句・句法 ]

・ 新たに死せる鬼 … 死んだばかりの幽霊

・ 痩頓す … 痩せ衰えている

・ 忽ち … 思いがけなく

・ 問訊す … 安否を尋ねる

・ 那〜 … どうして〜か

  読み「なんゾ〜カ」(疑問)

・ 爾る ⇒ 疲れ痩頓す

・ 任ふ … 我慢する


 [ 現代語訳・書き下し文2 ]

新死鬼・幽明録 現代語訳・書き下し文


     [ 語句・句法 ]

・ 方便 … やり方

・ 当〜 … 〜するのが当然だ

  読み「まさニ〜すベシ」(再読文字)

・ 法 … 方法

・ 見〜 … 〜される

  読み「〜らル」(受身)

・ 〜耳 … 〜だけだ

  読み「〜のみ」(限定)

・ 但〜 … ただ〜だけだ

  読み「たダ〜」(限定)

・ 怪を作す … 悪さをする

・ 当〜 … きっと〜するだろう

  読み「まさニ〜すベシ」(再読文字)


 [ 現代語訳・書き下し文3 ]

新死鬼・幽明録 現代語訳・書き下し文


     [ 語句・句法 ]

・ 大墟の東頭 … 大きな村ざとの東の端

・ 仏 … 仏教

・ 奉ず … 信奉する

・ 精進す … 仏道修行に専心する

・ 西廂 … 西のひさし

・ 磨 … 挽き臼

・ 就ち … すぐに

・ 推す … 挽き臼につけた遣木を押し引きして挽き臼を回す

・ 法 … やり方


 [ 現代語訳・書き下し文4 ]

新死鬼・幽明録 現代語訳・書き下し文


     [ 語句・句法 ]

・ 令A〜 … Aに〜させる

  読み「Aヲシテ〜しム」(使役)

・ 輦ぐ … 肩にのせて運ぶ

・ 之に与ふ ⇒ 挽き臼に入れる

・ 斛 … 容量の単位


 [ 現代語訳・書き下し文5 ]

新死鬼・幽明録 現代語訳・書き下し文


     [ 語句・句法 ]

・ 疲頓す … 疲れ果てる

・ 罵る … 声高に非難する

・ 誑す … ことば巧みにだます

・ 去く … 行く


 [ 現代語訳・書き下し文6 ]

新死鬼・幽明録 現代語訳・書き下し文


     [ 語句・句法 ]

・ 道 … 道教

・ 傍ら … すぐ近く

・ 碓 … つき臼

・ 状 … 状態、様子


 [ 現代語訳・書き下し文7 ]

新死鬼・幽明録 現代語訳・書き下し文


     [ 語句・句法 ]

・ 穀 … 穀物

・ 婢 … 女の召使い

・ 簸篩 … ふるい

・ 力む … 精一杯働く


 [ 現代語訳・書き下し文8 ]

新死鬼・幽明録 現代語訳・書き下し文


     [ 語句・句法 ]

・ 婚姻 … 親戚関係

・ 他の比に非ず ⇒ 特に親しく交際している

・ 如何〜 … どうして〜か

  読み「いかんゾ〜カ」(疑問)

・ 甌 … 小さなかめ


 [ 現代語訳・書き下し文9 ]

新死鬼・幽明録 現代語訳・書き下し文


     [ 語句・句法 ]

・ 偶ふ … 出くわす

・ 事ふ … 専念する

・ 情 … 感情

・ 百姓 … 庶民

・ 覓む … 探し求める

・ 無不〜 … 〜ないことはない(必ず〜する)

  読み「〜ざルなシ」(二重否定)


 [ 現代語訳・書き下し文10 ]

新死鬼・幽明録 現代語訳・書き下し文


     [ 語句・句法 ]

・ 門首 … 門の前

・ 窓前 … 窓の側


 [ 現代語訳・書き下し文11 ]

新死鬼・幽明録 現代語訳・書き下し文


     [ 語句・句法 ]

・ 自来 … これまで

・ 怪 … 不思議なこと

・ 客鬼 … 祀ってくれる人のいない幽霊


 [ 現代語訳・書き下し文12 ]

新死鬼・幽明録 現代語訳・書き下し文


     [ 語句・句法 ]

・ 果たして … 思ったとおり




     [ 原文 ]

有新死鬼。形疲痩頓。

忽見生時友人。死及二十年、肥健。

相問訊。曰、「卿那爾。」

曰、「吾飢餓殆不自任。

卿知諸方便。故当以法見教。」

友鬼云、「此甚易耳。

但為人作怪、人必大怖、当与卿食。」

新鬼往入大墟東頭。

有一家奉仏精進。屋西廂有磨。

鬼就推此磨、如人推法。

此家主語子弟曰、

「仏憐吾家貧、令鬼推磨。」

乃輦麦与之。

至夕磨数斛。疲頓乃去。

遂罵友鬼、「卿那誑我。」

又曰、「但復去、自当得也。」

復従墟西頭入一家。家奉道。

門傍有碓。此鬼便上碓、為人舂状。

此人言、「昨日鬼助某甲。

今復来助吾。可輦穀与之。」

又給婢簸篩、至夕力疲甚、不与鬼食。

鬼暮帰、大怒曰、

「吾自与卿為婚姻、非他比。

如何見欺。

二日助人、不得一甌飲食。」

友鬼曰、「卿自不偶耳。

此二家奉仏事道。情自難動。

今去、可覓百姓家作怪、則無不得。」

鬼復出、得一家。門首有竹竿。

従門入、見有一群女子、窓前共食。

至庭中、有一白狗、便抱令空中行。

其家見之大驚言、「自来未有此怪。」

占云、「有客鬼索食。可殺狗。

並甘果酒飯于庭中祀之、可得無他。」

其家如師言。鬼果大得食。

自此後恒作怪、友鬼之教也。


    [ 現代語訳 ]

死んだばかりの幽霊がいた。

疲れた様子で痩せ衰えていた。

偶然、生前の友人に出会った。

死んで二十年になるのに、太って健康そうだ。

お互いに安否を尋ねあった。

言うには、「君はどうしてそんな有様なんだ。」と。

言うには、「私は何も食べてなくて今にも倒れそうだ。

君は様々なやり方を知っている。

それで、その方法を教えてほしい。」と。

友人の幽霊が言った、「それは非常に簡単なことだ。

ただ人に対して悪さをすれば、人は必ず大いに怖れて、きっと君に食べ物を与えるだろう。」と。

新鬼は赴いて大きな村ざとの東の端に入った。

仏教を信奉して仏道修行に専心する一軒の家があった。

家の西のひさしの下に挽き臼があった。

幽霊はすぐにこの挽き臼を押し回して、人が押し回しているように見せかけた。

この家の主人が子弟に語って言うには、「仏様が家の貧しいのを憐れんで、幽霊に挽き臼を押し回させている。」と。

そこで麦を運んできてこれに与えた。

夕方になるまで数斛の麦を挽いた。

疲れ果てて立ち去った。

すぐに友人の幽霊を声高に非難して言うには、「君はどうして私を騙すのか。」と。

また言うには、「もう一度行きさえすれば、ひとりでにきっと得ることができるだろう。」と。

もう一度村ざとの西の端から一軒の家に入った。

家では道教を信奉していた。

門のすぐ近くにつき臼があった。

この幽霊はすぐにつき臼に上がって、人がついているかのような様子にした。

この人が言う、「昨日幽霊が誰それを助けた。

今また来て私を助けている。

穀物を運んできてこれに与えなさい。」と。

また女の召使いにふるいを与え、夕方になるまで精一杯働いてひどく疲れたのだが、幽霊に食物を与えなかった。

幽霊は夕暮れに帰り、非常に怒って言うには、「私は君と親戚関係を結んでから、他の者とは比べものにならない。

どうして騙されるのか。

二日も人を助けたが、小さなかめ一杯の飲み物も食べ物も得ていない。」と。

友の幽霊が言うには、「君はたまたま出くわさなかっただけだ。

この二軒の家は仏教を信奉し道教に専念していた。

感情を自然に動かすのは難しかった。

今から行って、庶民の家を探し求めて悪さをするべきだ。

そうすれば必ず得るだろう。」と。

幽霊はもう一度行って、一軒の家を見つけた。

門の前に竹竿があった。

門から入ると、ひとかたまりの女性がいて、窓の側で一緒に食べているのを見た。

庭の中にやって来ると、一匹の白い犬がいた、すぐに抱いて空中を動かした。

その家の者はこれを見て大いに驚いて言う、「これまでこんな不思議なことはなかった。」と。

祈祷師が占って言う、「誰にも祀られていない幽霊で食べ物を探し求めているものがいる。

犬を殺すべきだ。

および甘い果実と酒と飯を供えて庭の中に祀れば、他の怪異は起こらないですむだろう。」と。

その家の者は祈祷師の言った通りにした。

幽霊は思いどおりにたくさんの食べ物を得た。

これから後、いつも悪さをするのは、友の幽霊の教えである。


    [ 書き下し文 ]

新たに死せる鬼有り。

形は疲れ痩頓す。

忽ち生時の友人を見る。

死して二十年に及ぶも、肥健なり。

相問訊す。

曰はく、「卿は那ぞ爾るか。」と。

曰はく、「吾飢餓して殆ど自ら任へず。

卿は諸の方便を知る。

故に当に法を以て教へらるべし。」と。

友の鬼云ふ、「此れ甚だ易きのみ。

但だ人の為に怪を作さば人必ず大いに怖れ、当に卿に食を与ふべし。」と。

新鬼往きて大墟の東頭に入る。

一家の仏を奉じて精進するもの有り。

屋の西廂に磨有り。

鬼就ち此の磨を推して、人の推す法のごとくす。

此の家の主子弟に語りて曰はく、「仏吾が家の貧しきを憐れみて鬼をして磨を推さしむ。」と。

乃ち麦を輦ぎて之に与ふ。

夕べに至るまで数斛を磨く。

疲頓して乃ち去る。

遂に友の鬼を罵り、「卿は那ぞ我を誑すか。」と。

又曰はく、「但だ復た去けば、自づから当に得べきなり。」と。

復た墟の西頭より一家に入る。家道を奉ず。

門の傍らに碓有り。

此の鬼便ち碓に上りて、人の舂く状のごとくす。

此の人言ふ、「昨日鬼某甲を助く。

今復た来たりて吾を助く。

穀を輦ぎて之に与ふべし。」と。

又婢に簸篩を給し、夕べに至るまで力め疲るること甚だしきも、鬼に食を与えず。

鬼暮れに帰り、大いに怒りて曰はく、「吾卿と婚姻を為してより、他の比に非ず。

如何ぞ欺かるるか。

二日人を助くるも、一甌の飲食をも得ず。」と。

友の鬼曰はく、「卿は自づから偶はざるのみ。

此の二家は仏を奉じ道に事ふ。

情自づから動かし難し。

今去きて、百姓の家を覓め怪を作すべし。

則ち得ざること無からん。」と。

鬼復た去きて、一家を得。

門首に竹竿有り。

門より入るに、一群の女子有りて、窓前に共に食らふを見る。

庭中に至るに、一白狗有り、便ち抱きて空中に行かしむ。

其の家之を見て大いに驚きて言ふ、「自来未だ此の怪有らず。」と。

占ひて云ふ、「客鬼の食を索むる有り。

狗を殺すべし。

並びに甘果酒飯もて庭中に于いて之を祀らば、他無きを得べし。」と。

其の家師の言のごとくす。

鬼果たして大いに食を得たり。

此れより後恒に怪を作すは、友の鬼の教へなり。






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