羆説


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 [ 現代語訳・書き下し文1 ]

羆説 現代語訳・書き下し文・読み


     [ 語句・句法 ]

・ 貙 … 虎に似た獣

・ 羆 … 熊の一種

・ 状 … 形状

・ 髮を被る … 頭に毛がかぶさっている

・ 竹 … 竹製の笛

・ 音を為す … 鳴き声のまねをする


 [ 現代語訳・書き下し文2 ]

羆説 現代語訳・書き下し文・読み


・ 寂寂たり … こそこそとひそかなさま

・ 罌火 … かめの中に入れた灯火

・ 即きて山に之く … 山に近づいて行く

・ 類 … 仲間

・ 伺ふ … 待ち構える

・ 火を発す … 灯火で照らす


 [ 現代語訳・書き下し文3 ]

羆説 現代語訳・書き下し文・読み


・ 駭かす … 驚かせる

・ 愈 … ますます


 [ 現代語訳・書き下し文4 ]

羆説 現代語訳・書き下し文・読み


・ 捽搏挽裂す … 襲いかかって引き裂く

・ 恃む … 頼りにする




    [ 原文 ]

鹿畏貙、貙畏虎、虎畏羆。

羆之状、被髮人立、絶有力而甚害人焉。

楚之南有猟者、能吹竹為百獣之音。

寂寂持弓矢罌火而即之山。

為鹿鳴以感其類、伺其至、発火而射之。

貙聞其鹿也、趨而至。

其人恐、因為虎而駭之。

貙走而虎至、愈恐、則又為羆。

虎亦亡去。羆聞而求其類、至則人也。

捽搏挽裂而食之。

今夫不善内而恃外者、未有不為羆之食也。


    [ 現代語訳 ]

鹿は貙を恐れ、貙は虎を恐れ、虎は羆を恐れる。

羆の形状は、頭に毛がかぶさり人と同様に立ち、非常に力があってひどく人を侵害する。

楚国の南に猟師がいる、竹製の笛を吹いて多くの獣の鳴き声のまねをすることができた。

こそこそとひそかに弓矢とかめの中に入れた灯火を持って山に近づいて行く。

鹿の鳴き声をまねてその仲間に感知させ、その到着を待ち構え、灯火で照らしてこれを射る。

貙はそれが鹿の鳴き声であるのを聞くと、走ってやって来る。

その人は恐れて、そこで虎の鳴き声をまねてこれを驚かせる。

貙は逃げて虎がやって来る、ますます恐れて、また羆の鳴き声をまねる。

虎も同様に逃げ去る。羆が聞いてその仲間を求めて、やって来ると人間である。

襲いかかって引き裂いてこれを食べる。

今、そもそも、内部の状態を改善しないで外部の物事をあてにする者は、今までに羆の餌食にならなかったことがないのである。


    [ 書き下し文 ]

鹿は貙を畏れ、貙は虎を畏れ、虎は羆を畏る。

羆の状、髮を被り人のごとく立ち、絶だ力有りて甚だ人を害す。

楚の南に猟者有り、能く竹を吹きて百獣の音と為す。

寂寂として弓矢罌火を持ちて即きて山を之く。

鹿鳴を為して以て其の類を感ぜしめ、其の至るを伺ひ、火を発して之を射る。

貙其の鹿なるを聞くや、趨りて至る。

其の人恐れて、因りて虎を為して之を駭かす。

貙走りて虎至り、愈恐れて、則ち又羆を為す。

虎亦亡げ去る。羆聞き其の類を求めて、至れば則ち人なり。

捽搏挽裂して之を食らふ。

今夫れ内を善くせずして外を恃む者は、未だ羆の食と為らざること有らざるなり。








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