出師表


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出師表・十八史略 現代語訳・書き下し文

     [ 語句・句法 ]

・ 出師 … 出兵すること

・ 表 … 天子に奉る文章

・ 丞相 … 行政軍事の全権を持つ最高官

・ 臨む … 出来事に直面する

・ 上疏 … 天子に文章を奉ること

・ 疲弊 … 疲れて弱ること

・ 危急 … 危険が迫っていること

・ 存亡 … 存続するか滅びるか

・ 秋 … 最も大切な時

   
出師表・十八史略 現代語訳・書き下し文

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     [ 語句・句法 ]

・ 宜〜 … 〜するのがよい

  読み「よろシク〜べシ」(再読文字)

・ 聖聴 … 陛下のお耳

・ 開張す … 大きく広げる

・ 忠諌 … 忠義に基づく諌言

・ 宮中 … 陛下の近臣

・ 府中 … 丞相の部下

・ 陟罰臧否 … 善を賞し悪を罰すること

・ 異同 … 不一致

   
出師表・十八史略 現代語訳・書き下し文

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     [ 語句・句法 ]

・ 姦 … 不正

・ 科 … 法律

・ 有司 … 担当の役人

・ 付す … 任せる

・ 刑賞 … 刑罰と恩賞

・ 平 … かたよらないこと

・ 明 … 正しく明らかなこと

・ 賢臣 … 知能、人徳の優れた家臣

・ 小人 … つまらない人物

   
出師表・十八史略 現代語訳・書き下し文

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     [ 語句・句法 ]

・ 傾頽す … 衰え滅びる

・ 布衣 … 無位無官の庶民

・ 躬ら … みずから

・ 苟くも … どうにか

・ 性命 … 生命

・ 全うす … 保持する

・ 聞達 … 名声が及ぶこと

   
出師表・十八史略 現代語訳・書き下し文

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     [ 語句・句法 ]

・ 卑鄙 … 身分が低いこと

・ 猥自枉屈 … 尊貴の身分を屈すること

・ 猥りに … 物事の秩序を無視して

・ 枉屈す … 曲げかがめる

・ 草廬 … 粗末な家

・ 三顧す … 三たび訪問する

・ 諮る … 上位者が下位者に相談する

・ 当世 … 今の世の中

・ 駆馳 … 奔走すること

・ 謹慎なり … 言動を慎むさま

   
出師表・十八史略 現代語訳・書き下し文

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     [ 語句・句法 ]

・ 崩ず … 天子が亡くなる

・ 寄す … 頼む

・ 大事 ⇒ 中国を統一すること

・ 夙夜 … 朝早くから夜遅くまで

・ 憂懼す … 心配する

・ 付託 … 依頼すること

・ 明 … 物事の判断の適切さ

・ 不毛 … 蛮地

   
出師表・十八史略 現代語訳・書き下し文

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     [ 語句・句法 ]

・ 兵甲 … 兵隊と武器

・ 三軍 … 天子の軍隊

・ 旧都 … 後漢の首都、洛陽

・ 還る … 元の場所に戻る

・ 職分 … 役目




     [ 原文 ]

 漢丞相亮、率諸軍北伐魏。

 臨発上疏曰、「今天下三分、益州疲弊。

 此誠危急存亡之秋也。

 宜開張聖聴、不宜塞忠諌之路。

 宮中・府中、倶為一体。

 陟罰臧否、不宜異同。

 若有作姦犯科及忠善者、宜付有司、

 論其刑賞、以昭平明之治。

 親賢臣遠小人、此先漢所以興隆也。

 親小人遠賢臣、此後漢所以傾頽也。

 臣本布衣、躬耕南陽、

 苟全性命於乱世、不求聞達於諸侯。

 先帝不以臣卑鄙、猥自枉屈、

 三顧臣於草廬之中、諮臣以当世之事。

 由是感激、許先帝以駆馳。

 先帝知臣謹慎、

 臨崩、寄以大事。

 受命以来、夙夜憂懼、

 恐付託不效、以傷先帝之明。

 故五月渡瀘、深入不毛。

 今南方已定、兵甲已足。

 当奨率三軍、北定中原。

 興復漢室、還于旧都。

 此臣所以報先帝、

 而忠陛下之職分也。」遂屯漢中。


     [ 現代語訳 ]

漢の丞相の諸葛亮は、諸軍を率いて北方の魏を伐つことになった。

出発するにあたって、天子に文章を奉って言うには、「今、天下は三つに分かれ、益州の地は疲れ衰えています。

実に危険が迫った、存続か滅亡かの最も大切な時です。

どうぞ陛下のお耳を広くお開きになり、忠義に基づく諌言を奉る路を塞いではなりません。

宮中と政府は、ともに同一の体です。

善を賞し悪を罰することで、宮中と政府とに食い違いがあってはなりません。

もし不正をなす者や蜀科を犯す者および忠義善良な者があれば、担当の役人に任せて、その刑罰恩賞を論じ、そして公平正明な政治を天下に明らかにするべきです。

賢臣に親しみ小人を遠ざけたことが、先漢の興隆した原因なのです。

小人に親しみ賢臣を遠ざけたことが、後漢が衰え滅びた原因なのです。

私はもともと無位無官の庶民であって、自ら南陽で耕作に従事し、乱世にあってどうにか生命を保持すればよく、名声が及ぶことを諸侯に求めていません。

先帝は、私の身分が低いにもかかわらず、恐れ多くも、自分から高貴な身分を曲げかがめて、私を粗末な家の中に三度も訪問し、私に当時の情勢とそれへの対策をお尋ねになりました。

これがために感激して、先帝のために奔走することを約束しました。

先帝は、私が慎み深いことを知り、ご臨終にあたって、中国の統一を頼まれました。

ご命令を受けてから、朝早くから夜遅くまで心配を重ね、ご依頼の効果がなくて、それで先帝の聡明さを傷つけるのではないかと恐れています。

そのため、五月には瀘水を渡り、深く未開の地に入りました。

今、南方の地はすでに平定され、兵隊と武器もすでに十分に備わっています。

まさに今、天子の軍隊を励まし率いて、北方の中原の地を平定するべきです。

漢の王室を復興し、洛陽に戻りましょう。

これが、先帝に報いて、陛下に忠誠を尽くすための、私の役目なのです。」と。

ついに漢中に駐屯した。




     [ 書き下し文 ]

漢の丞相の亮、諸軍を率ゐて北のかた魏を伐つ。

発するに臨みて上疏して曰はく、「今天下三分し、益州疲弊せり。此れ誠に危急存亡の秋なり。

宜しく聖聴を開張すべく、宜しく忠諌の路を塞ぐべからず。

宮中・府中は、倶に一体たり。

臧否を陟罰するに、宜しく異同あるべからず。

若し姦を作し科を犯し及び忠善の者有らば、宜しく有司に付して、其の刑賞を論じて、以つて平明の治を昭らかにすべし。

賢臣に親しみ小人を遠ざくるは、此れ先漢の興隆せし所以なり。

小人に親しみ賢臣を遠ざくるは、此れ後漢の傾頽せし所以なり。

臣は本布衣にして、躬ら南陽に耕し、苟くも性命を乱世に全うし、聞達を諸侯に求めず。

先帝臣の卑鄙なるを以つてせず、猥りに自ら枉屈して、臣を草廬の中に三顧し、臣を諮るに当世の事を以つてす。

是に由りて感激し、先帝に許すに駆馳を以つてす。

先帝臣の謹慎なるを知り、崩ずるに臨みて、寄するに大事を以つてす。

命を受けてより以来、夙夜憂懼し、付託の効あらずして、以つて先帝の明を傷はんことを恐る。

故に五月瀘を渡り、深く不毛に入る。

今南方已に定まり、兵甲已に足る。

当に三軍を奨率して、北のかた中原を定むべし。

漢室を興復し、旧都に還らん。

此れ臣の先帝に報いて、陛下に忠なる所以の職分なり。」と。

遂に漢中に屯す。






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