背水之陣


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背水之陣・十八史略 現代語訳・書き下し文

     [ 語句・句法 ]

・ 以ゐる … 率いる

・ 夜半 … 夜中

・ 伝す … 命令を伝える

・ 軽騎 … 軽装備の騎兵

・ 幟 … のぼり

・ 戒む … 注意を与える


     [ 原文 ]

 漢三年、韓信・張耳、以兵撃趙。

 趙王歇、及成安君陳余禦之。

 夜半、信伝発軽騎二千人、

 人持赤幟、従間道望趙軍、戒曰、

   
背水之陣・十八史略 現代語訳・書き下し文

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     [ 語句・句法 ]

・ 壁 … 城壁

・ 陣す … 陣を構える


      [ 原文 ]

 「趙見我走、必空壁逐我。

 若疾入趙壁、抜趙幟、立漢赤幟。」

 乃使万人先背水陣。

   
背水之陣・十八史略 現代語訳・書き下し文

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     [ 語句・句法 ]

・ 平旦 … 夜明け方

・ 旗鼓 … 旗と太鼓

・ 鼓行す … 太鼓を鳴らして進軍する

・ 水の上の軍 … 川岸に陣取った軍

・ 走る … 逃げる

・ 果たして … 予想していたとおり


       [ 原文 ]

 平旦、建大将旗鼓、鼓行出井陘口。

 趙開壁撃之。戦良久。

 信・耳佯棄鼓旗、走水上軍。

 趙果空壁逐之。

   
背水之陣・十八史略 現代語訳・書き下し文

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     [ 語句・句法 ]

・ 殊死す … 死ぬ覚悟で物事を行う

・ 失ふ … 逃がす

・ 夾撃す … 挟み撃ちにする


       [ 原文 ]

 水上軍皆殊死戦。

 趙軍已失信等帰壁、見赤幟大驚、

 遂乱遁走。漢軍夾撃、

 大破之、斬陳余、禽趙歇。

   
背水之陣・十八史略 現代語訳・書き下し文

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     [ 語句・句法 ]

・ 賀す … 祝いの言葉を述べる

・ 山陵 … 山と丘

・ 倍く … 背にする

・ 水沢 … 川と沢


       [ 原文 ]

 諸将賀、因問曰、

 「兵法『右倍山陵、前左水沢。』

 今背水而勝何也。」

   
背水之陣・十八史略 現代語訳・書き下し文

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     [ 語句・句法 ]

・ 死地 … 必ず死ぬであろう場所

・ 生く … 生きのびる

・ 亡地 … 必ず滅びるであろう場所

・ 存す … 生存する

・ 服す … 心から従う


       [ 原文 ]

 信曰、「兵法不曰、

 『陥之死地而後生、置之亡。

 地而後存。』乎。」諸将皆服。




     [ 現代語訳 ]

漢の三年、韓信と張耳は、兵を率いて趙を攻撃した。

趙王の歇、および成安君の陳余がこれを防いだ。

夜中に、韓信は命令を伝えて簡単な装備の騎馬兵二千人を出発させ、それぞれに赤いのぼりを持たせ、抜け道から趙軍を遠く見えるところに進軍させ、注意を与えて言うには、

「趙軍は私の部隊が逃げるのを見ると、必ず城壁を空にして、私の部隊を追うだろう。おまえたちは、すばやく趙の城壁に入り、趙ののぼりを抜いて、漢軍の赤いのぼりを立てなさい。」と。

そこで一万人の兵にまず川を背後にして陣を構えさせた。

夜明け方、大将の旗と太鼓をおし立て、太鼓を鳴らして前進して井陘口から出ていった。

趙軍は城壁を開いてこれを攻撃した。

しばらく戦った。

韓信と張耳は、偽って太鼓や旗を棄て、川岸に陣取った軍のほうに逃げた。

趙軍は、予想どおり、城壁を空にしてこれを追った。

川岸に陣取った軍の者は皆死にものぐるいで戦った。

趙の軍は、もはや韓信たちをとり逃がして城壁のほうに戻り、赤いのぼりを見て非常に驚き、その結果、混乱して逃げ出した。

漢軍は挟み撃ちにして、大いにこれを打ち破り、陳余を斬り、趙王の歇を捕虜にした。

諸将が祝いの言葉を述べ、そして尋ねて言うには、「兵法に、『山や丘を右や背にし、川や沢を前や左にせよ。』とあります。今回、川を背にして勝ったのは、どういうわけでしょうか。」と。

韓信が言うには、「兵法に『軍を必ず死ぬような危険な場所に陥れて、はじめて生きのびることができ、軍を必ず滅びるような危険な場所に置いて、はじめて生き残ることができる。』と言わないだろうか。」と。

諸将は、皆感服した。




     [ 書き下し文 ]

漢の三年、韓信・張耳、兵を以ゐて趙を撃つ。

趙王歇、及び成安君陳余之を禦ぐ。

夜半、信伝して軽騎二千人を発し、人ごとに赤幟を持ち、間道より趙軍を望ましめ、戒めて曰はく、

「趙我の走ぐるを見れば、必ず壁を空しくして我を逐はん。若疾く趙の壁に入り、趙の幟を抜きて、漢の赤幟を立てよ。」と。

乃ち万人をして先づ水を背にして陣せしむ。

平旦、大将の旗鼓を建て、鼓行して井陘口より出づ。

趙壁を開き之を撃つ。戦ふこと良久し。

信・耳佯りて鼓旗を棄て、水の上の軍に走る。

趙果たして壁を空しくして之を逐ふ。

水の上の軍皆殊死して戦ふ。

趙の軍已に信等を失ひて壁に帰り、赤幟を見て大いに驚き、遂に乱れて遁走す。

漢軍夾撃して、大いに之を破り、陳余を斬り、趙歇を禽にす。

諸将賀し、因りて問ひて曰はく、「兵法に『山陵を右にし倍き、水沢を前にし左にす。』と。今水を背にして勝ちしは何ぞや。 」と。

信曰はく、「兵法に『之を死地に陥れて而る後に生き、 之を亡地に置きて而る後に存す。』と曰はざらんや。」と。

諸将皆服す。






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