太公望


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 [ 現代語訳・書き下し文4 ]

太公望・十八史略 現代語訳・書き下し文・読み


     [ 語句・句法 ]

・ 上 … 海の水際

・ 窮困す … 貧乏に苦しむ

・ 猟す … 狩猟する

・ 彲 … みずち、竜の一種

・ 羆 … ひぐま、熊の一種

・ 貔 … 豹に似た猛獣


 [ 現代語訳・書き下し文5 ]

太公望・十八史略 現代語訳・書き下し文・読み


     [ 語句・句法 ]

・ 覇王 … 武力で諸侯を従えて天下を治める人

・ 輔 … 補佐役

・ 果たして … 予期したとおり

・ 陽 … 山の南側、川の北側

・ 先君 … 死亡した父親

・ 太公 … 父または祖父

・ 当〜 … きっと〜だろう

   読み「まさニ〜べシ」(再読文字)

・ 適く … 目指して行く

・ 興る … 勢いが盛んになる


 [ 現代語訳・書き下し文6 ]

太公望・十八史略 現代語訳・書き下し文・読み


     [ 語句・句法 ]

・ 〜耶 … 〜だなあ

   読み「〜か」(詠嘆)

・ 号す … 名づける

・ 与に倶に … 一緒に

・ 立つ … 尊重する

・ 師尚父 … 師父として尊敬する人


 [ 現代語訳・書き下し文1 ]

太公望・十八史略 現代語訳・書き下し文・読み


     [ 語句・句法 ]

・ 卒す … 死ぬ

・ 立つ … 高位につく

・ 西伯 … 西方諸侯の旗頭

・ 徳を修む … 人徳を身につける

・ 帰す … 帰順する

・ 田 … 耕作地

・ 界 … 境界

・ 俗 … 世間で一般的なこと

・ 長 … 年長者


 [ 現代語訳・書き下し文2 ]

太公望・十八史略 現代語訳・書き下し文・読み


     [ 語句・句法 ]

・ 見ゆ … お目にかかる

・ 取る … 自分のものにする


 [ 現代語訳・書き下し文3 ]

太公望・十八史略 現代語訳・書き下し文・読み


     [ 語句・句法 ]

・ 受命の君 … 天から命をうけた君主




     [ 原文 ]

 公季卒、昌立。為西伯。

 西伯修徳。諸侯帰之。

 虞芮争田、不能決。乃如周。

 入界見、畊者皆遜畔、民俗皆譲長。

 二人慙、相謂曰、「吾所争、周人所恥。」

 乃不見西伯而還、倶譲其田不取。

 漢南帰西伯者四十国。

 皆以為受命之君。三分天下、有其二。


 有呂尚者、東海上人。

 窮困年老、漁釣至周。

 西伯将猟、卜之。

 曰、「非竜、非彲、非熊、非羆、

 非虎、非貔。所獲覇王之輔。」

 果遇呂尚渭水之陽。

 与語大悦曰、

 「自吾先君太公曰、

 『当有聖人適周。周因以興。』

 子真是耶。吾太公望子久矣。」

 故号之曰太公望。

 載与倶帰。立為師、謂之師尚父。




     [ 現代語訳 ]

公季が死んで、昌が位につき、西伯になった。

西伯は人徳を身につけ、諸侯はこれに帰順した。

虞と芮が耕作地を争い、解決できなかった。

そこで周に行った。

国境を入って、耕作者がみな畑の境界を譲り合い、民衆が一般にみな年長者に譲っているのを見た。

二人は恥ずかしくなり、互いに対して言うには、「我々の争いは、周の国の人が恥ずかしいと思うことなのだ。」と。

そこで西伯に謁見しないで戻り、ともにその耕作地を譲り合って自分のものにしなかった。

漢水の南で西伯に帰順する者が四十国あった。

みな天から命をうけた君主と見なした。

天下を三つに分けて、その二つを所有した。

呂尚という者がいた、東海の水際の人である。

貧乏に苦しみ年老いて、釣をしながら周にやって来た。

西伯が今から狩猟しようと思って、それの吉凶を占った。

その結果は、「竜ではなく、彲ではなく、熊ではなく、羆ではなく、虎ではなく、貔ではなく、獲得するものは覇王の補佐役であろう。」と。

思ったとおり、呂尚に渭水の北岸で出遇った。

ともに語り大いに喜んで言うには、「私の亡くなった父の頃から言われているには、『きっと周を目指して来る聖人がいるだろう。その人によって周は勢いが盛んになるだろう。』と。あなたが実にその人なんだなあ。私の父はあなたを長い間待ち望んでいた。」と。

それゆえこれに太公望と名前をつけた。

車に載せて一緒に帰った。

師として尊重し、これを大先生と呼んだ。


     [ 書き下し文 ]

公季卒し、昌立ち、西伯と為る。

西伯徳を修め、諸侯之に帰す。

虞・芮田を争ひて、決する能はず。

乃ち周に如く。

界に入りて、耕す者皆畦を遜り、民の俗皆長に譲るを見る。

二人慙ぢ、相謂ひて曰はく、「吾が争ふ所は、周人の恥づる所なり。」と。

乃ち西伯に見えずして還り、倶に其の田を譲りて取らず。

漢南の西伯に帰する者四十国。

皆以て受命の君と為す。

天下を三分して、其の二を有つ。

呂尚といふ者有り、東海の上の人なり。

窮困して年老い、漁釣して周に至る。西伯将に猟せんとし之をトす。

曰はく、「竜に非ず、彲に非ず、熊に非ず、羆に非ず、虎に非ず、貔に非ず、獲る所は覇王の輔ならん。」と。

果たして呂尚に渭水の陽に遇ふ。

与に語りて大いに悦びて曰はく、「吾が先君太公より曰はく、『当に聖人有りて周に適くべし。周因りて以て興らん。』と。子は真に是なるか。吾が太公子を望むこと久し。」と。

故に之を号して太公望と曰ふ。

載せて与に倶に帰る。

立てて師と為し、之を師尚父と謂ふ。






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