これも仁和寺の法師


・ 徒然草「これも仁和寺の法師」の現代語訳と品詞分解です。現代語訳と品詞分解を並べて記載しています。

・ 500個ほど有るといわれている重要語句はカラーで表示しています。150個ほど有るといわれている最重要語句には印を付けています。

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       [ 現代語訳・品詞分解・原文 ]

これも仁和寺の法師・徒然草 現代語訳・品詞分解・原文


       [ 詳しい解説 ]

これも仁和寺の法師、童の法師にならんとする名残とて、
仁和寺(にんなじ)、童(わらわ)
これも仁和寺の法師、少年が法師になろうとするお別れだということで、
・ なら … ラ行四段活用の動詞「なる」の未然形
・ ん … 意志の助動詞「ん」の終止形
・ する … サ行変格活用の動詞「す」の連体形

おのおの遊ぶことありけるに、酔ひて興に入るあまり、
酔(え)ひ
それぞれ歌や舞などを楽しむことがあったときに、酔って興に乗りすぎて、
・ 遊ぶ … バ行四段活用の動詞「遊ぶ」の連体形
○ 遊ぶ … 詩歌・管弦・舞のどを楽しむ
・ あり … ラ行変格活用の動詞「あり」の連用形
・ ける … 過去の助動詞「けり」の連体形
・ 酔ひ … ハ行四段活用の動詞「酔ふ」の連用形
・ 入る … ラ行四段活用の動詞「入る」の連体形

傍らなる足鼎を取りて、頭にかづきたれば、つまるやうにするを、
傍(かたわ)ら、足鼎(あしがなえ)、頭(かしら)
そばにあった足鼎を取って、頭にかぶったところ、つかえるようになるのを、
・ なる … 存在の助動詞「なり」の連体形
・ 取り … ラ行四段活用の動詞「取る」の連用形
・ かづき … カ行四段活用の動詞「かづく」の連用形
☆ かづく … 頭にかぶる
・ たれ … 完了の助動詞「たり」の已然形
・ つまる … ラ行四段活用の動詞「つまる」の連体形
・ やうに … 比況の助動詞「やうなり」の連用形
・ する … サ行変格活用の動詞「す」の連体形


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鼻をおし平めて、顔をさし入れて舞い出でたるに、
鼻を押さえて平らにして、頭を差し込んで舞い出したところ、

満座興に入ること限りなし。
その場にいた人は皆おもしろがることこの上なかった。

しばしかなでて後、抜かんとするに、おほかた抜かれず。
しばらく舞った後、抜こうとするが、まったく抜くことができない。

酒宴ことさめて、いかがはせんと惑ひけり。
酒宴は興がさめて、どうしようかと途方にくれた。

とかくすれば、首のまはり欠けて、血垂り、
あれやこれやすると、首の周りが傷ついて、血が垂れ、

ただ腫れに腫れみちて、息もつまりければ、
ただもうひたすら腫れあがって、息もつまってきたので、

打ち割らんとすれど、たやすく割れず、
たたき割ろうとするけれども、簡単には割れず、

響きて堪えがたかりければ、かなはで、
響いて我慢ができなかったので、やりとげられないで、

すべきやうなくて、三つ足なる角の上に帷子をうちかけて、
どうしようもなくて、三つ足の角の上に裏地のない着物を掛けて、

手を引き杖をつかせて、京なる医師のがり率て行きける道すがら、
手を引き杖をつかせて、京にいる医師のところに連れて行った途中で、

人のあやしみ見ること限りなし。
人々が不思議がって見ることはこの上なかった。

医師のもとにさし入りて、
医師のところに入って、

向かひゐたりけんありさま、さこそ異様なりけめ。
向かい合って座っている様子は、さぞ奇妙だっただろう。

ものを言ふも、くぐもり声に響きて聞こえず。
ものを言っても、内にこもった不明瞭な声に響いて聞きとれない。

「かかることは、文にも見えず、
「このようなことは書物にも見あたらないし、

伝へたる教へもなし。」と言へば、
受け継いでいる教えもない。」と言うので、

また仁和寺へ帰りて、親しき者、老いたる母など、
また仁和寺へ帰って、親しい者や年老いた母親などが、

枕上に寄りゐて泣き悲しめども、聞くらんともおぼえず。
枕元に集まり座って泣き悲しむが、聞いているだろうとも思われない。

かかるほどに、ある者の言ふやう、
こうしているうちに、ある人が言うには、

「たとひ耳鼻こそ切れ失すとも、命ばかりはなどか生きざらん。
「たとえ耳や鼻が切れてなくなっても、命だけはどうして助からないだろうか。

ただ力を立てて引きたまへ。」とて、藁のしべをまはりにさし入れて、
ただ力を入れてお引きなさい。」と言うので、藁の芯を首の周りに差し込んで、

かねを隔てて、首もちぎるばかり引きたるに、
金物との間隔をあけて、首もちぎれるほど引いたところ、

耳鼻欠けうげながら抜けにけり。
耳や鼻が欠けて穴があいた状態で抜けてしまった。

からき命まうけて、久しく病みゐたりけり。
危ない命を拾って、長く病んでいたそうだ。






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