応長のころ、伊勢の国より


・ 徒然草「応長のころ、伊勢の国より」の現代語訳と品詞分解です。現代語訳と品詞分解を並べて記載しています。

・ 500個ほど有るといわれている重要語句はカラーで表示しています。150個ほど有るといわれている最重要語句には印を付けています。

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       [ 現代語訳・品詞分解・原文 ]

応長のころ・徒然草 現代語訳・品詞分解・原文


       [ 詳しい解説 ]

応長のころ、伊勢の国より、
応長(おうちょう)、伊勢(いせ)
応長のころ、伊勢の国から、

女の鬼になりたるを率て上りたりといふことありて、
率(い)て
女が鬼になったのを引き連れて上京したということがあって、
・ なり … ラ行四段活用の動詞「なる」の連用形
・ たる … 完了の助動詞「たり」の連体形
・ 率 … ワ行上一段活用の動詞「率る」の連用形
○ 率る … 引き連れる
・ 上り … ラ行四段活用の動詞「上る」の連用形
○ 上る … 上京する
・ たり … 完了の助動詞「たり」の終止形
・ いふ … ハ行四段活用の動詞「いふ」の連体形
・ あり … ラ行変格活用の動詞「あり」の連用形

そのころ二十日ばかり、日ごとに、
そのころ二十日間ほど、毎日、

京・白川の人、鬼見にとて出で惑ふ。
白川(しらかわ)、出(い)で
京や白川の人が、鬼見物にといってむやみに出歩いた。
・ 見 … マ行上一段活用の動詞「見る」の連用形
・ 出で惑ふ … ハ行四段活用の動詞「出で惑ふ」の終止形
☆ 〜惑ふ … ひどく〜する

「昨日は西園寺に参りたりし。」
西園寺(さいおんじ)
「昨日は西園寺に参った。」
・ 参り … ラ行四段活用の動詞「参る」の連用形(謙譲語
○ 参る … おうかがいする
・ たり … 完了の助動詞「たり」の連用形
・ し … 過去の助動詞「き」の連体形


   


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「今日は院へ参るべし。」
「今日は上皇の御所へ参るだろう。」
「ただ今はそこそこに。」など言ひ合へり。
「ほんの今はどこそこに。」などと言い合っている。
まさしく見たりといふ人もなく、虚言と言ふ人もなし。
ほんとうに見たという人もいないし、嘘だと言う人もいない。
上下ただ、鬼のことのみ言ひやまず。
身分の高い人も低い人も、ただ、鬼のことだけを言い続けている。
そのころ、東山より安居院の辺へまかりはべりしに、
そのころ、東山から安居院の辺りに参りましたときに、
四条より上さまの人、皆、北をさして走る。
四条通りより北の方の人が、皆、北をさして走っていく。
「一条室町に鬼あり。」とののしり合へり。
「一条室町に鬼がいる。」と大声で騒ぎ合っている。
今出川の辺より見やれば、院の御桟敷のあたり、
今出川の辺りから眺めると、上皇の御見物用の席の辺りは、
さらに通り得べうもあらず立ちこみたり。
まったく通ることができそうにもないほど混雑している。
早く跡なき事にはあらざめりとて、
もとから根拠のないことではないようだと思って、
人を遣りて見するに、おほかた会へる者なし。
人をやって見させたところ、まったく会った者がいない。
暮るるまでかく立ち騒ぎて、
日の暮れるまでこのように騒ぎたてて、
果ては闘諍おこりて、あさましきことどもありけり。
最後には喧嘩が起こって、あきれるほどひどい様々なことがあった。
そのころ、おしなべて、二、三日人のわづらふことはべりしをぞ、
そのころ、世間一般で、二、三日人が病気になることがありましたのを、
「かの鬼の虚言は、このしるしを示すなりけり。」と言ふ人もはべりし。
「あの鬼の作り話は、この前兆を示すものだったのだ。」と言う人もありました。


   






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