山月記・漢詩


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      [ 訓読文 ]

山月記・漢詩 原文


 [ 現代語訳・書き下し文1 ]

山月記・漢詩 現代語訳・書き下し文・読み


     [ 語句 ]

・ 狂疾 … 精神病

・ 殊類 … 人類と違う生物

・ 災患 … 災難

・ 仍る … 重なる

・ 敢へて〜や … 進んで〜か(反語)

・ 声跡 … よい評判


 [ 現代語訳・書き下し文2 ]

山月記・漢詩 現代語訳・書き下し文・読み


     [ 語句 ]

・ 異物 … 人類と違う生物

・ 蓬茅 … 雑草

・ 軺 … 小さい軽い車

・ 気勢 … 意気込む気持ち

・ 渓山 … 谷と山

・ 長嘯 … 声を長く引いて詩を吟じること

・ 嘷 … ほえ叫ぶこと




    [ 解説 ]

・ 詩形 … 七言律詩

・ 音韻 … 逃(とう)、高(こう)、豪(ごう)、嘷(こう)

・ 対句 … 「今日爪牙誰敢敵」と「当時声跡共相高」(頷聯)

        「我為異物蓬茅下」と「君已乗軺気勢豪」(頸聯)


    [ 鑑賞 ]

その昔は、自分も友人も世間の評判が高かったが、現在では、友人が高官になり意気盛んであるのに対して、虎となってしまった自分はほえ叫ぶことしかできない、そんな状況を嘆き悲しむ気持ちが詠まれている。なお、「長嘯を成さず」には、詩人として名を成せなかった李徴の無念さが表現されている。

   [ 原文 ]

偶 因 狂 疾 成 殊 類

災 患 相 仍 不 可 逃

今 日 爪 牙 誰 敢 敵

当 時 声 跡 共 相 高

我 為 異 物 蓬 茅 下

君 已 乗 軺 気 勢 豪

此 夕 渓 山 対 明 月

不 成 長 嘯 但 成 嘷




   [ 書き下し文 ]

偶狂疾に因つて殊類と成る

災患相仍つて逃るべからず

今日は爪牙誰か敢へて敵せんや

当時は声跡共に相高かりき

我は異物と為りて蓬茅の下にあれども

君は已に軺に乗りて気勢豪なり

此の夕渓山明月に対し

長嘯を成さずして但嘷を成すのみ


   [ 現代語訳 ]

たまたま精神を病んで獣になってしまった。

災難が重なって逃れることができない。

今や、この爪や牙に誰が進んで刃向かうだろうか。

その昔は、私も君も、よい評判が互いに高かった。

私は、獣となって雑草の中にいるが、

君は、すでに小さな車に乗って意気盛んである。

この夕暮れ、山や谷を照らす名月に向きあって、

声を長く引いて詩を吟じずに、ただほえ叫ぶだけである。






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