初冠


・ 伊勢物語「初冠」の現代語訳と品詞分解です。現代語訳と品詞分解を並べて記載しています。

・ 500個ほど有るといわれている重要語句はカラーで表示しています。150個ほど有るといわれている最重要語句には印を付けています。

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       [ 現代語訳・品詞分解・原文 ]

初冠・伊勢物語 現代語訳・品詞分解・原文


       [ 詳しい解説 ]

昔、男、初冠して、平城の京、春日の里に、
昔、男が、元服して、奈良の都、春日の里に、
・ し … サ行変格活用の動詞「す」の連用形

しるよしして、狩りにいにけり。
領有している縁で、狩りに行った。
・ しる … ラ行四段活用の動詞「しる」の連体形
○ よし … ゆかり
・ いに … ナ行変格活用の動詞「いぬ」の連用形
・ けり … 過去の助動詞「けり」の終止形

その里に、いとなまめいたる女はらから住みけり。
その里に、たいへん若々しく美しい姉妹が住んでいた。
・ なまめい … カ行四段活用の動詞「なまめく」の連用形(音便)
○ なまめく … みずみずしく美しい
・ たる … 存続の助動詞「たり」の連体形
○ はらから … 兄弟姉妹
・ 住み … マ行四段活用の動詞「住む」の連用形
・ けり … 過去の助動詞「けり」の終止形

この男、垣間見てけり。
この男は、のぞき見してしまった。
・ 垣間見 … マ行上一段活用の動詞「垣間見る」の連用形
・ て … 完了の助動詞「つ」の連用形
・ けり … 過去の助動詞「けり」の終止形


   


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思ほえず、ふるさとにいとはしたなくてありければ、
思いがけず、旧都にとても不似合いなさまで住んでいたので、

心地惑ひにけり。
気持ちが乱れてしまった。

男の、着たりける狩衣の裾を切りて、歌を書きてやる。
男は、着ていた狩衣の裾を切って、歌を書いて贈る。

その男、しのぶずりの狩衣をなむ着たりける。
その男は、しのぶずりの狩衣を着ていた。

  春日野の若紫のすり衣
  春日野の若い紫草で染めたこの狩衣のしのぶずりの模様

  しのぶの乱れ限り知られず
  のように私の心の乱れには限りがありません。

となむ、おひつきて言ひやりける。
と、すぐに歌を詠んで贈った。

ついでおもしろきことともや思ひけむ。
事の成り行きに合った趣のあることと思ったのだろうか。

  みちのくのしのぶもぢずりたれゆゑに
  みちのくのしのぶもぢずりの乱れ模様のように誰のせい

  乱れそめにし我ならなくに
  で私の心は乱れ始めたのか、私のせいではないのに。

といふ歌の心ばへなり。
という歌の趣向である。

昔人は、かくいちはやきみやびをなむしける。
昔の人は、このように熱烈な風流事をしたのだった。


   






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